大人のリトミック
西武線、[中野区 鷺ノ宮駅]、[杉並区 下井草駅] 近のMYMUSICピアノ教室です!
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私ごとですが、ある中堅通販化粧品メーカーのインタビューを受けました。商品開発者との対談を会報誌に乗せるのだそうです。
スタッフ数人とヘアメイクアーティストとプロのカメラマンが待機していたホテルの会議室は、簡易フォトスタジオが組まれていました。化粧品の会員向けの機関誌なので、会員様が凹む様な写真は使えないから、キチンとお金をかけて撮影をするらしい。私と研究員の方は、ちょっとしたモデル気分で写真を撮られてきました。
ところで、その場にいた女性スタッフの方が「リトミックって難しいですよね。」と私に話しかけできました。私の情報はなんとMYMUSICのホームページで下調べをしてきたらしい。それで高校生のときレッスンを受けたリトミックを思い出したのだそうです。その方はスタイルも抜群で、いかにもという雰囲気が漂っていました。やはりクラシックバレエを踊られているのだそうです。
平たく大雑把に捉えると、リトミックは「音楽的な感受性を持つ肉体を得る」ためのメソッドです。楽器を持たずして音楽を体感できるため、クラシックバレエなどを踊る人は音楽の基本的な要素、拍子、拍節、リズム感を鍛えるために、リトミックのクラスを受ける事があります。ロシアの名門ワガノワではリトミックのクラスが併用されているくらいです。
その様に考えるとリトミックは乳幼児だけでなく、「人生のすべての段階でリトミックは必要とされる」というダルクローズの言葉が理解できます。老いも若きも、音楽経験なない人も高度な音楽技術をすでに持っている人にも有用であると…
音楽大学など高度な音楽教育を受ける過程において、リトミックが必要とされることがあります。また、バレエダンサーに代表される舞踏家や舞踊家、演劇やパントマイム等々の舞台表現で音楽的な感性を必要となった時、楽器演奏の習得なしに音楽を学ぶことができるリトミックは有用だったりします。どちらのケースも対象年齢は高くなって来ます。
特に音楽家の場合は豊かで鋭敏な感性を持っていたとしてもそれを表現する技術がなければ演奏に繋がりません。高度な音楽教育を受けている過程の学生の中では、感じるものを表現するための「演奏技術」に合わせて、大きな筋肉を使って体全体を動かす事によって「感情を外向させる訓練」が必要な人もいるのです。
リトミックは、「即時反応」「即興演奏(キーボードハーモニーを含む)」「リズム運動」を単体でまたは組み合わせてレッスンを行います。
例えば、オノマトペonomatopée(オノマトペとは、効果音や動作などを文字で表記した擬音語、擬態語の総称。 )を使って即興的にイメージを動きにして表現する。擬態擬音語は4文字ですので、4拍子になりますね。
例えば、雨の音「ザーザー」の隣で、晴れた日の「ぽかぽか」のイメージをぶつけてみる、次の人は…みたいに表現を重ねていくと、視覚的に面白いものができてくるかもしれません。擬態語擬音語を即興で歌いハーモニーを作る事も出来ます。舞台的演劇的な訓練にもなります。演奏家にとって演劇やパントマイムの勉強は有意と言われています。やり方によっては音楽学校内のリトミックのクラスでその代用が出来るのです。
楽器演奏の習得とリトミックが違うところは、乳幼児からリトミックを習い続けて大人になってもレッスンを受けているという人が皆無ということです。
楽器演奏の習得は子供から初めて大人になって続けていて、楽しみの内容や興味のあり方が変わっても、同じ楽器を弾くことをしています。が、
リトミックの場合、乳幼児のリトミックは健やかな心身の成長を促すものとして期待されます。子供からのリトミックは乳幼児よりもっと音楽的に高度なレッスンになりますので、高次脳機能の発達が期待されます。さらに大人になってからのリトミックは、専門分野に対してのフォローアップが期待されるのです。
専門的なリトミック教室の場合、小中学生の指導ができる優れた教師が在籍していることがあります。学齢が高くなると、教師に優秀さが求められるのはなぜなのか。
例えば、ピアノの即興演奏を聴きながら1小節遅れでリズムカノンをする、ポリリズムを経験してもらう、教師が合図を出してステップ(足)とクラップ(手)をチェンジする、等をしてもらうためには、教師が混乱せずにタイトにリズムを演奏し続けなければなりません。しかも音楽的にきちんとした即興演奏の中で。その為非常に高度な技術を要するのです。
この様な高スペックな教師は都内の専門機関か留学でしか育ちません。しかもなりたい人がすべてなれるのでは無く、得手不得手などの「ふるい」にもかけられてしまいます。高スペックな教師不足が乳幼児以降でリトミックを続ける人が少ないことの要因の一つかなと思います。
高度な演奏技術とそれを保持する鍛錬、教材研究と指導内容の組み立てを日夜研究することになりますが、学齢を重ねたレッスン生の需要が少ないことや大人クラスの場合は、生徒様の専門分野やご要望に合わせての指導となりますので、想像力と幅広い教養が必要となります。音楽教師側に立つと「苦労の割に儲けが少ない分野」ということになってしまいます。またバレエ学校や教室など舞踏を専門に指導する指導のケースでは、教師自身の身体能力も多少は要求されるかもしれません。
乳幼児対象のリトミック以外、「需要無し」で「教師無し」で「社会で認知されていない」となれば、「人生オールステージのリトミック」はなかなか世に広まりません。大学で高度なリトミックを経験した者のひとりとしては少し寂しい気持ちになります。
が、これからの高齢化社会、身体機能や高次脳機能を保ちながら年齢を重ねていくのかは切実な課題です。認知症になってから音楽療法としてリトミックを体験するのでは無く、その前の段階でリトミックを経験し、楽しくQOLを維持するサークルや教室などができればいいのにと考えるのですが・・・
リトミックは、体験学習的で特に予習復習しなくていいし、筋肉もつかれず、それでいてストレス発散もできるし、習熟度が関係ないので、初心者でも気軽に参加できます。
地域の体育館などで、ベリーダンスやフラダンスみたいに、リトミックの「熟年層の教室やサークル」が出来てくれば、リトミックの認知のされ方も変わるのではないでしょうか。「大人のリトミック」、スペースのある教室をお持ちのリトミックの先生方が、乳幼児の教室と並行して挑戦してみたらいいのにと思います。
2017.12.05│コラム