白鷺教室の試演会
さわらび会から約半月。練習をサボらないように、前回イベール「ヒストリー」を聞いてもらった方に「また聴いてくれる?」と頼んでシューベルトのソナタA-dur D 664を通して演奏しました。今回は全楽章、楽譜のリピート記号通りに繰り返すことにしました。
そういえば、バッハの時代からほとんどの楽曲には繰り返しがあります。「演奏者はどういう気持ちで繰り返し演奏すればいいのか」「繰り返すことの意味はなんだろうか?」とレッスンのついでにU先生に聞いてみました。
U先生は面白いですね、っと話に乗ってこられて、「バロックの時代は繰り返して変奏するのが習わしだった」「主題をしっかり印象付けたいという作曲者の思いがあったかも。」「ストーリー性が強くて、繰り返すと物語が最初に戻っちゃって変になるような曲は、ストレートで繰り返しがない」みたいな話になりました。録音の技術がない時代、好きなだけ繰り返して音樂を聴くことができなかったので、「一回聴くだけじゃ物足りない!!」だから繰り返しをする曲が多いのだろうとも、言われました。馬車が世の中で最速だった時代、時間の進み方ものんびりしていて、ゆったりと音楽を楽しむ心の余裕が現代よりもあったのかもしれませんね。
で、このソナタは楽譜通り繰り返しをすると、全楽章通すと20分くらいかかります。20分もじっと聴いてもらうのはJ-POPに慣れた人には苦痛かもしれないなぁ・・と心中では申し訳ないと思っていましたが・・・
とても喜んで頂けてホッとしました。「先生、シューベルトってすごい人ですね、人生感じました。」シューベルトの楽曲からは、作曲者の自己顕示欲や感じられなかったそうです。『周りに迷惑かけない天才』だったんじゃないかと。たいていの天才は家族や友人に迷惑をかけまくるけど、シューベルトは表面的には極めて常識的な人だったのではないかと、「でも所々に闇を抱えているようなところが感じられて、それがまた魅了的ですね・・・」
「この曲は何回でも聴いてみたいです。」えっ!?そうなんですか?「一回では物足りないです。」というわけで今度は繰り返しなしで,もう一回聴いてもらいました。
「最初の演奏は全面にシューベルトがきてましたけど、二回目の演奏が先生が面に出ているような感じでした。」鋭いところを突かれました。一回目は頑張って自分なりのシューベルトを表現しようとしましたが、後の演奏は肩の力も抜けて即興的に弾いたところがありました、「長尾節」になってしまったようです。
まるまる1曲聞いてもらった上、貴重な感想たくさんをいただけました。本当に感謝です。
その上、ランチにパンをたくさん焼いてきてくださいました。おかずも何品か持ってきてくださって、全部とても美味しかったです。音楽の話も世間話もいっぱい出来て、しかもご馳走まで頂いてしまって、本当に楽しかったです。
もっとたくさんの種類があったのですが、写メする前に食べてしまっていました。
2016.04.19│コラム