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お知らせ

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読譜上のトラブルについて 前編

西武線、[中野区 鷺ノ宮駅]、[杉並区 下井草駅] 近のMYMUSICピアノ教室です!

 

読譜上のトラブルについて
 

ピアノを弾く上で譜読みはしっかりできる方が良いです。なぜなら便利(有利)だからです。
 

一般的に読譜とは、単に楽譜を「目で見て読む」ではなく、譜面を「見て」→何が書いてあるか「認知」して→「演奏」する、一連の行動が伴うことになります。つまり黙読で本を読む事とは全く違うことをすることになります。
 

譜面には音の高低と音価が書かれているので、同時に両方を理解しなければなりません。完全な暗譜演奏以外は、複数の情報を左から右に、弾きたいタイムに合わせて順々に見る目の動きと、目で見て認知した情報を鍵盤を下げる運動に変換する脳の働き、出た音を耳で聴き、脳で再確認する作業の連続です。(勿論この後、出た音を聴覚で再確認します。)
 

目で見て脳で情報を処理、部分または短期記憶=input
蓄えた情報を運動に変換、運動を長期記憶する=output
 

一人で読譜ができない人、または読譜と演奏が上手くつながらない人は、その過程の何処かでトラブルがあると考えられます。
 

では、何を解決したら効率の良い読譜力が身につくのでしょうか。整理のために思いつく問題を箇条書きにしてみようと思います。
 

読譜の最重要課題は、outputしやすい状態にしてからinputする事です。想起し難い情報をinputすると、output作業が不利になります。
 


 

ピアノの楽譜は譜面が分厚く、譜めくりが多いため、本番で譜面を立てないで演奏する機会が多く、そのためにも確かで膨大な情報を記憶する力が必要となります。つまり情報を圧縮して脳にinputする必要があるのですが…
 

※ inputの為に情報を圧縮する方法については、後術させてください。
 


 

まず、input関連のトラブルを考えてみました。
 

1)音価や高低が理解できていない、知らない。楽語を見ない、意味を知らない。
2)全ての音符を点読みする習慣
3)譜面を見ないで鍵盤と手の位置情報で記憶する習慣
4)演奏中に、楽譜を見る視点が左から右に滑らかに動かない
 

‘1)音価や高低が理解できていない、知らない’は、「リズムや音名のフラッシュカード」や「音名の書きとり」の問題集をしつこく行う事で解決できそうです。子供の場合ピアノ歴が長くても、意外なほど音名がスラスラ出て来ません。楽語についても日常的に使用する楽語は、楽典の問題集には必ず出てきます。全てピアノから離れた机上で、充分に養う事が出来ます。
 

主催教室内で私は、前に書いた音をヒントに次の音を書かないように、口頭で音名を答えさせてまが、うっ!と言葉に詰まる場面を頻繁に見ています。習い始めから繰り返し練習してもこの程度なので、子供にとっては音を読むだけでも重労働なのでしょう。
 


 

‘2)全ての音符を点読みする’の問題点ですが、点を見るように一つ一つの音を理解できるようになったとします。しかし、こ存在する音と音価、複数の旋律や和音を構成する音を一つづつ拾っていては、構造が把握できず、練習しても何を弾いているのか判らない状態が続きます。そうならないよう、近年出版された教則本の導入段階では、音の高低を前後の音の相対関係から認知出来るように工夫がされています。これを「線読み」と一般的に呼んでいます。
 

音数が多くなるにしたがって、線読みだけでは対応して出来なくなり、「面読み」でなります。「点→線→面」と視覚の範囲が広がり、認知出来る情報も増えます。が、認知より先にまず「見る」ということが大切になります。(私が通っていた速読教室でも、書いてある内容を把握することより先に視野を広げ「黙読しないでただ見る」訓練をしました。)まず、見る事が出来ないと、その先内容を認知することができないからです。
 

一つ一つの音情報を一々覚えていたら、情報量は膨大になります、結果は、弾いているうちに認知が追いつかず混乱する、瞬間的に次を忘れる(ホワイトアウト)という症状を起こしやすくなります。そのため、ピアノの読譜は「情報を圧縮してinput」する必要があります。
 


 

‘3)譜面を見ないで鍵盤と手の位置情報で記憶する習慣’は、導入から引きずっている事が多い難問です。最近の教則本は大変学ぶ側に都合よくできていますので、’丸暗記→反復練習’をさせないように工夫されています。が先に書いたように子供にとり「抽象的」な楽譜を読んで理解することは重労働です。彼らは楽をするために、視覚から入った情報でなく、まず耳で音を認知し、その情報を「鍵盤を押す手順」で覚えようとします。主な練習方法は反復です。読譜が出来る人とは、練習過程で全く違う経過をたどることになります。
 

また、「鍵盤を弾く+楽譜を確認する」が困難な人もいます。楽譜で音価と音高が分かっていても、ピアノに向かい合った瞬間、鍵盤から視線を上げる余裕がなくなり、楽譜が視界からすっかり消えるだけでなく、存在すら無いことにされてしまいます。弾いていてわからなくなった時も、手を止めて楽譜を確認することができません。こうなってしまうと、楽譜に全ての音名を書き込んだとしても、どれだけ楽譜を見るよう促しても、楽譜を避けようとします。
 

たとえ音や指遣いが分からなくなっても、自分の記憶を頼りに思い出そうとして譜面を確認しないため、「音やリズムを間違えて覚えやすい」「演奏に向かない効率の悪い指遣いを覚える」こともあります。そんな場合でも「間違えて覚えてしまった時に修正が難しい」。曲の途中から弾けず、曲頭から全通しの練習しかしなくなると「弾けるようになるまで、膨大な時間と労力が必要になる」。さらに、練習中に弾けるところは端折って弾く習慣が出来てしまうと、「tempo感や拍節感が乏しい演奏になりがち」です。
 

‘4)は、鍵盤と手元を見ていないと弾けない’タイプです。押す鍵盤の位置と手順は、一曲分覚えるとすると、累積し膨大な情報量を記憶することになります。当然記憶が飛ぶ確率が高くなるのです。解決の近道はブラインドタッチの習得です。目を閉じても天井を見ても弾けるようになったら、譜面の楽譜を追いながらでも弾ける筈ですし、「手順と鍵盤の位置の記憶→空間の認知や運動と筋肉の記憶」と記憶の内容が変わり、演奏に対してより有利になります。
 

後編では、問題のある読譜が、何故ピアノ演奏全体のトラブルに結びつくのか、考えてみたいと思います。

 

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