導入期の教則本選び・・前半
お引越しなどで他の地域から移ってきた生徒さんが、この時期に増えてきます。せっかく習っていたから、空白の時期を作りたくなくて、親御さんが急いで教室を探すのかな、3月4月の新学期で忙しい時期に新しい教室にも通い始めるのは、お子さんにとっては大変なことだろうと思います。
そういう生徒さんは、私が使った事がない教本を持ってこられる事があります。
あれもこれも急激に変わるのも良くないので、今まで使っていた教本で続きを継続するようにしています。お陰さまで定期的に楽譜売り場で立ち読み研究する以外にも、いろいろな教材を目にしたり、使う事ができました。最近は良い教則本がたくさん出版されています。先生もいっぱい勉強しないと追いつかないです。
ところで、私が教室を始めた時から、バイエルを持ってくる人が絶滅しています。
バイエル上巻から始まって、右往曲折あっても最後なチェルニーにたどり着くという、昔ながらの系統は今時の子供には食いつきが悪いようです。
バイエルは「ドイツの本」です。導入の赤本は、現在「最悪」と言われていますが、ミッキー版が出たりして、今の子供にも使ってもらえるように、それなりの努力がなされているようです。
下巻は古典に結びつくような左手の伴奏形(アルベルティバス)が達者になります。この伴奏形を身につけるとメロディに簡単に伴奏がつけられるようになります。定型の伴奏形なので面白みはありませんが、基本なので保育士は勉強しておくと役に立ちます。が、趣味の方やこれからいろいろな楽曲に親しんでいく未来のあるお子さんの教則本としては、確かに時代遅れの感があります。
何しろドイツ音名を覚えさせようとするので、「ド」は「C チェー」とカタカナで表記されているのは、私が見てもドン引きでした。「チェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー・ハー」で歌うのは高校1年コールシューレの視唱の試験以来です。
この後、ブルクミュラーやチェルニー100番を通過してチェルに−30番にたどり着く、のが一昔前からの王道でした。
メトードローズは「フランス」の本です。最近は猫のイラストの可愛い版も出ています。猫狂いの小学4年生はイラストで食いつきました。一曲づつに表題がつき、親しみやすいメロディとバイエルほどには型にはまらない、初歩ながらポリフォニック(多声)な曲も見られます。その後「ピアノの練習ABC」から「ピアノの練習ラジリテ」と進み、結局は「チェルに−30番」にたどり着く・・・
というわけで、経過はどうあれ結局はチェルニー30番、40番50番、60番とチェルニーを勉強させられたのでした。
導入期の教材で選択肢もなく「バイエルの赤本」が出てくる先生なら、教え方がかなり古いと思った方がいいでしょう。
長くなったので前半終了します。続きもちゃんと近日中に書きますね。
2016.03.20│コラム