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コラム

手の大きさに頼らない

西武線、[中野区 鷺ノ宮駅]、[杉並区 下井草駅] 近のMYMUSICピアノ教室です!

中央線沿い「阿佐ヶ谷教室」もご贔屓に!
 

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さて、新年会に向けて人々が始動しだしたこの頃、自分も新年会の出し物を考えようかなぁと思い始めました。前回の発表会では、巡礼スイスから名曲「泉のほとり」とイタリアから「ペトラルカのソネット104番」を弾いて涼しみました。まぁ、ペトラルカのソネットは暑苦しいイタリア男の恋の詩に曲が付いたものでしたが。

 

 

 

邦訳は日本人の感覚だと濃すぎるような・・・発表会の時は言語で武富太郎さんに読んでもらいましたけど、イタリア語だととても素敵な響きに聞こえました。

 

 

 

涼しげだったり歌モノに飽きたので、発表会後は4番「泉のほとり」の次の曲、5番「Orage」(邦題・嵐)を惰性で弾いていました。難曲であることばかりで名曲との評が全くないこの曲、ただ単に譜読みが楽そうなので選び、レッスンで見てもらったU先生と二人で「リストはチェルニーの弟子だし、チェルニーがわりのエチュードにちょうどいいかも」となかば馬鹿にしながらも、この頭の悪そうな曲をちまちま弾いていました。が、誤算がありました。この曲を練習していると汗をかくのです。「嵐」・・・これからのゲリラ豪雨や台風シーズンにちょうどいいかと思いましたが…
 
 

 

曲の冒頭からff その後Presto furioso(熱狂的に・荒れ狂って)rinforzando(その音を急速に強く)がいっぱいあって〜 sempre fff〜strinjeno(だんだん早く・だんだんせきこんで)〜sempre strepitoso(騒々しく・強烈な)Cadenzaで少し休憩できるかと思いきや、ad.libitumha右手のアルペジオのみ、主旋律の左はmarcatoだったり。

 

 

 

たいして長くない曲ですが、中間部分に‘休憩タイムがない、最後までうるさい曲’だったことが譜読みしていくうちに判明しました。オクターブの8分音符ばかりで譜読み後も楽そうだったのに大誤算です。少しはダイエットになるのかな・・・?

 

 

 

騒々しく・強烈なところの譜面です。ユニゾンのあとは両手オクターブでアルペジオ。

 

 

 

楽しそうな3度のスケール両手重ねも・・・一見難しそうでも2パターンだけ。

 

 

 

突然マーチみたいになった時の左手が、オスティナート。右手はワンコード、譜読みの嫌いな私から見たら素敵な風景!

 

 

 

9月半ばにA先生のレッスンに行くことができました。今回はリストばかり、ノクターン3番(愛の夢)を加えて、泉と嵐と104番を4曲を持って行きました。情熱家のA先生のツボにはまったのはやはり「Orage」で、早くものにするようにと・・・手が小さいのだからレパートリーにするのはやめたら?と言われるかと思ったのに、ちょっと意外です。
 

 

 


 

 

 

 

バカにしきっていた「Orage」ですが、U先生とのレッスンの中で、実は人間賛歌的な深い情緒があり、楽語の細かい書き込みからリスト自身は結構気合いを込めて書いたのでは・・という結論に達しました。そう言われてみるとヴェルディのオペラのワンシーンみたい・・・急にやる気がおきましたが、すでにU先生は「Orage」に飽きてきてしまったようで、次は絶対新しい曲にして!と言われてしまいました。

 

 

 

ところで先ほどの「新年会の出し物」の話に戻りますが、新年幕開け早々に「嵐」は顰蹙をかいそうなのでどうしようかな・・・とU先生に相談したら同じリストの「森のささやき」がふさわしいと猛プッシュです。「森のささやき」プラス何か(「嵐」でも)だったらまぁ無難ですよね。

 

 

 

話は変わりますが、私は身長150センチないくらい小柄で、手の大きさは小学生にどんどん抜かされていきます。中学生の生徒で私より手の小さい人はいないのです。そんな中、小学3年生のNちゃんが新年会ように新曲を持ってきました。「ラデツキー行進曲」‘ヨハン・シュトラウス1世’の名曲、ニューイヤーに鉄板の曲です。

 

 

 


 

 

 

曲の冒頭と中間部に少しだけですがオクターブのフレーズがありました。Nちゃんはまだオクターブの重音を弾いたことがありませんが、ちょっとだけ挑戦したそうです。うーん届くかな・・・ちょと無理かも。経験のない技巧を無理して長時間練習するのは怪我の元、一晩寝たら手が成長して1オクターブが届くくらい大きくなっているかもしれないからと説得。毎日「3回だけ」弾いてみて、出来そうかどうかを経過観察してもらうことにしました。

 

 

 

お母様もお迎えにいらっしゃって「オクターブのフレーズはまだ無理ですよね?」と尋ねられました。そこで毎日三回のお話をして、「手の大きさに関してはあと数ミリで余裕が出てくるとは思うのですが。」と話していて試しにNちゃんと手を合わせて大きさを比べてみました。ショック!Nちゃんと私の手の大きさがほとんど変わらない。

 

 

 

Nちゃんは「もう来週弾けるようになっているかも!』と急に威勢が良くなりました。実はこの日、私が「愛の夢」の中間部分を弾いていた時にNちゃんがレッスン室に入ってこられたのです。思いっきり聴かれてしまったようで、先生もオクターブ大丈夫なら自分もいける!と思ったようです。

 

 

 

そういえば・・・

 

 

 

今までたくさんの生徒さんをレッスンさせていただきましたけど「私は手が小さいので弾けません。」と言われたことは皆無です。それどころか私が「恵まれた大きさの手を持っているんだから、これくらい弾いてよ!」って冗談めかして言った答えが「先生、何バカなこと言っているの、手の大きさなんてたいして影響ないじゃない。」とだったことがありました(小学5年生に大真面目な顔で)。
 

 

 

 


 

 

 

こんなに小さな手でよく頑張っているなぁと自分の手が愛おしく感じられました。andなんで私はオクターブのパッセージが得意で(あくまでも本人比較ですが)私より手の大きい人でも得意じゃないまたは上手く弾けない人がいるのだろうとも思いました。

 

 

 

よくよく考えたらオクターブは手が小さい人でも届くので、抑えるだけなら手の大きさはあまり関係ないのです。大きな体躯や手を駆使しないと演奏できない楽器が存在している中で、ピアノに関しては、小柄な女性でありながら秀でたピアニストが大勢存在しています。手の大きさに頼らない弾き方は確かに存在しているのです。
 

 

 

ところで雑談ですが、最近急にリストばかりです。今年の春に生徒さんの結婚式で「ノクターン3番(愛の夢)」を弾いたのがきっかけで、「そういえばリストって人がいたわ」と思い出し、そしたら意外と付き合うのが楽だった・・・ということがあります。付き合うのが面倒な相手はショパン(もっと面倒臭い人がシューマン)です。U先生にその話をしたら気持ちはよくわかると言ってウケてました。リストは分かりやすいのが良いです。
 

 

 

こちらも大きくなってきました、生後7ヶ月に入り、とうとう3キロの大台に乗ってしまいました。

 

夏本番!MYMUSIC定期演奏会

 

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梅雨開け宣言はまだですが、夏本番の蒸し暑さ!寝苦しい夜が続きます。ここ数年の「夏本番‘前’の風物詩」といえば、そうそう『MYMUSIC定期演奏会』です。
 

今年はメンバーの入れ替わりが多くて、定期演奏会初参加という人、また3、4年ぶりの人が多いのです。毎年同じことの繰り返しにならないところが、大変でもあったり楽しかったりします。
 

今回の特徴は、ピアノソロ以外の連弾やミュージックベル、ミュージックベル、なんと生徒さんのギター独奏と弾き語り。バラエティーに富んでいます。
 

会場はこの夏で3回目となりますKMアートホール、地下のクラシック専門のスタジオはスタイリッシュな雰囲気です。3回目でこちらも慣れてきた会場ですが、家を出ようとしている当日の午前10時に、会場様から私に連絡がありました 。「当方の勘違いでなければご予約を頂いておりますよね。」・・・しばし絶句。忘れられてなくてよかったです。
 


 

タクシーに大荷物を詰め込み走ること30分。11時に生徒さん2名とともに無事到着。荷物を下ろしリハ開始です。ピアノはスタインウェイですが小ぶりでマホガニー。すごく可愛いですしフルコンに比べてかなり小さいのですが、とてもよく響きます。鍵盤も反応が良くて軽めなので弾きやすいです。
 


 

リハをしながらカメラさんと相談しつつ会場をセッティング、受付のテーブルを下ろしてきたりパイプ椅子を並べているとリハ第二陣が到着、閑散とした会場が、だんだん賑やかになってきました。
 

待ちくたびれ出した人々。


 

リハ最中はベストショットが取り放題。


 

椅子を並べたり受付の準備など、会場セッティングは早くインしてくれた生徒さんが手伝ってくれました。


 

時間を多めに取っていたのでリハーサルは余裕かと思っていたのですが、時間内ぴったりで全員なんとか練習できました。数年間おやすみしていたり、発表会初参加の方が多かった今回。この会場を使うのも早3年目ですが、なんだか新鮮な感じです。
 

男の子達、初参加でトップバッター、緊張気味だけど頑張りましたね。 同い歳なのですけど、次の男の子は2回目で準備万端、なんとゴジラのテーマを弾きました。ムジカピッコリーノの大ファンの彼は、いつも大人びた選曲をします。
 

初めて弾くマホガニーのピアノ。えっ!茶色いピアノだよ!


 

発表会2回目。会場の雰囲気にも慣れてきました。


 

その技は華やかさ可愛さ満載です女の子たちがディズニーやジブリ、モーツァルトの名曲を演奏します、がちょっと変わったところで「ボカロ」の曲、本当に今時の中学生ですね。受験のために3年以上休んでピアノを再開しtのですが、休んでいる間にボカロや初音ミク系に染まっていました。次に弾いてくれた若者、彼も発表会は初参加だったのですが、やはりボーカロイド系、少なくとも高校時代からバンド経験があ理想な彼は、センスがいいので上達も最短距離なのですが、やっぱり音楽の趣味はその上の世代と一線を画しているようです。・・・というわけで前からの生徒さんや保護者の方々皆新鮮そうに聴いていました。バカロ系の楽曲、素敵なものがいっぱいありますよね。
 


 


 


 

ソロ後半は慣れた面々、大分とピアノ歴も長いので安定した演奏です。結構弾き慣れているので新しい分野に挑戦している人もいます。ショパンでもワルツではなくて初めてマズルカを弾いてみるとか、久しぶりにモーツァルトのソナタ!?本当に難しいと思うのですが、頑張ってみたりとか、新しい挑戦が地味にあったりします。
 

珍しいところですと、ブラジルの作曲家エルネスト・ナザレーの楽曲で‘プリモローザ’なんてあまり普段には聴かれない曲とか。また悲愴の2楽章、ビリー・ジョエルが歌った「this night」の元曲、(今回はソロの部トリを務めて頂いたのですが)男性が弾くと雰囲気が出ますよね。それからバッハの楽曲と「ローズ」(おもひでほろほろの主題歌ですよね)をカップリングして弾かれたのも両方が引き立ってなかなかいい選曲だったと思います。それぞれ思い思いの演奏を終えて・・・
 


 


 

恒例のビンゴ大会。3×3のますなのになかなかビンゴにならない人もいるものです。このビンゴカードも生徒さんの手作り、30枚も作っていただいて本当にありがとうございました。あまりにも可愛いので捨てるに惜しくお持ち帰りななる方も多いです。
 

お宝の山。


 

選ぶのが大変。


 

ビンゴゲームで盛り上がった後は、懸念の多い第2部です、ピアノソロ以外の出し物をするのですが、私も初めて通して聴くなんてことも・・・
 

超絶技巧だと思われるミュージックベルによる技巧だと思われるミュージックベルによるPerfumeの「ポリリズム」の演奏。
 

ピアノ伴奏つき、ベルの音で奏でるポリリズムはとても綺麗でした。


 

念願のミュージックベルの演奏。楽しそうですね!


 

お母様と毎週猛練習してこの日を迎えました。頑張り屋さんですよね。小学生の女の子と私で「小さな手のためのジャズ」から一曲、すごくかっこいい曲ですが、イレギュラーに休符が入っているので気がぬけるとズレちゃう危険も・・・なかなかうまくいって安堵。さて、新年会で笑いをとったアルルの女第2弾「ファランドール」。こちらも新年会の反省から猛特訓の成果あり、結果はなかなかの迫力で演奏できました。無駄にスピードを出さず安全運転を習慣づけていたのが勝利の原因かと、後から分析。
 

迫力のファランドール、音数が多いので虚仮威しが効きました。


 

パパと連弾、パパはソロとお嬢様との連弾で大活躍!


 

ご友人から花束の贈呈。家族総出でのご参加ありがとうございました。


 

面白かったのは、なんとゲストの小林くんの欠席に生徒さんのギター演奏。楽器は私のギター。彼、なんとクラシックギター持っていないんだそうで・・・「フライミートゥザムーン」それから山崎まさよしの楽曲「「One more time, One more chance」。青春の1ページを思い出しましたと保護者の特にお母様から好評。「いろいろやってみたら何かは当たるものだねぇ」と本人談。
 

私のギターはショートスケールなので通常65センチある長さが63センチしかない!なんだかウクレレギターみたいです


 

それも済んじゃったら、ゲスト講師演奏の時間。武富太郎さんの声が会場内に染み渡ります。なんとも穏やかで静かな時間。今までの興奮から一気に‘静寂’の空間に引き込まれます。すごい澄み切った時間を一瞬で作ってしまう太郎さんにはいつもいつもすごいなぁと思います。
 

太郎さんの朗読、聞いているだけで癒される声です。


 

 

素晴らしい朗読家だと尊敬している太郎さんの後が私です。あぁ雰囲気が壊れませんように・・・
 

「ペトラルカのソネット104番」を太郎さんにイタリア語で読んでもらいました。イタリア語の朗読がすごすぎ!!普通に読み上げるだけだと思っていたら、すごく劇場的で感動的!!こんなに情熱的な詩だったのねと思いながら弾き始め・・・ペトラルカのソネットの中でもスケールの大きい、情熱的で甘く、しかも切ない表現が伝わりますように・・・
 

アンコール的に、同じリストの巡礼から1年スイスの中でも有名な「泉のほとりで」。夏にぴったりのキラキラした水面のような美しい曲です。皆様に聴いていただけて嬉しかったです。」
 


 

締めの「全員演奏のトーンチャイム」。初参加が多い今回に合わせて簡単目の楽曲「大きなのっぽの古時計」「ミッキーマウスマーチ」「家路」。以外とミッキーマウスマーチがまとまりにくかったけど、なんとか3局とも納得がいく演奏になって良かったです。
 

みなさん、自分だけの世界に入っています。


 

必死で自分のパートを追いかける面々。


 

このようにしてまた今年の定期演奏会も無事終了しました。来年の新年会に向けてまた頑張らねば。

『大人向け』初心者用教則本?!

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初めてのことにチャレンジして習得していくことは、スリリングです。それが長い間憧れだったことなら尚更ですよね。MYMUSICでも初心者の生徒さんが大勢いらっしゃいます。
 

さて、同じ初心者でも年齢によって難しいことが違ったり心惹かれるところが違っていたりしますが、初心者用の教則本の対象年齢は大概若い人向きです。昭和時代より前、ピアノを始めるのは子供ばかりだった時代があったからです。マイホームに百科事典とピアノが置ける・・・それがステータスだった時代、親世代がお稽古事でピアノを弾くことは稀だったと推測します。とりあえず女の子はピアノを習う時代はピアノの先生にとってバラ色の世界だったに違いありません。個人の教室で40人超の子供を教えていた先生も珍しくなかったはずです。
 

さて、平成の時代の主に都内ですが、ピアノの先生業はその頃に比べ様変わりしてしまいました。大人の生徒さんが増えたのです。田舎以上にお子さんがいないので、どうしても大人をちゃんとお教えできないと生徒数を確保できないのです。
MYMUSICも生徒さんの半分は大人です。
 

経験者が多いのですが、中には真っ白になって一から始める方、子供時代からの夢を果たすために全くの初心者でレッスンを開始する方も大勢いらっしゃいます。
 

しかしながら、幼児向きや3歳児から、5歳児向きなど銘打った教則本はあるのですが、成人対象とした初心者向きの教則本は残念ながら見つけられておらず、大人の方の使用に耐える教則本を使っています。
 

上が「ぴあのどりーむ1」下はわざわざ「幼児用」と銘打っていますが、そのとうりで、小学1年で使うと子供っぽすぎてしまいます。「ぴあのどりーむ1」も小学生3年生までかなっと思います。対象年齢は幼児から小学生低学年くらいですが、どんぴしゃりの年齢の子には、食いつきがよく理解しやすい教則本です

 

親の世代やその上の世代がバイエルやメトードローズでそだったので、その世代がピアノを初めると、教則本の種類の多さに目をみはるでしょう。「ぴあのどりーむ」や「アルフレッドピアノライブラリー」のように最初の1巻から3巻の前半までのんびり進む教材もありますが、バイエル上巻との大きな違いは、最初から大譜表を見せる、または噛み砕いて単純化した譜面で始まっても、かなり早い段階で大譜表に移行することです。そして初めから両手での演奏を訓練します。黒鍵に触れさせた後にミドルCに移行する(ペースメソッド、アルフレッド)、または最初からミドルCから順に音域を広げる、など初期の違いはありますが。右手を練習して、左手を練習して、両手になったらパニック!!なんて3度手間にならないような工夫がされているのです。
 

同じ「アルフレッドピアノライブラリー」カンガルーは「導入コース」青い本は「基礎コース」基礎コースが導入コースの倍のペースで進むように書かれています。

 

幼児と成人では認知能力に差があります。ですから最初から大譜表を見せてもついていけますし、力も強いし、手も大きい、なんといっても成長した腕は太くて重いのでいとも簡単に鍵盤を底まで押すことができます。音高と音価を楽譜から読み取ることも3歳児に比べたら簡単なはずです。そして右手と左手での「並列作業」も運動の経験の乏しい幼児よりはるかに優れています・・・いるはずです。が、一番難しいのはそこなのです。右手で弾くこと左手で弾くことを時間軸に沿って順に見て理解し、演奏する・・んだといいのですが、まずは順に鍵盤を押す作業ができるかどうか。ですから、いくら子供より優れていても、いきなり難しいことにチャレンジすると挫折してしまうのです。
 

難しいツボが子供時代と違っているので、子供用の教則本ではいらないところがあったり、もっと時間をかけなければならないところがあっけなく進んだりと「帯に短し襷に長し」のも難点です。
 

腕力も能力も子供より優れているの大人は、子供時代より悲しいかな不器用さが悪目立ちします。なんで思うように弾けないのか、それは5指のコントロールに慣れていないからです。コントロールする為の筋力も乏しいため、『隣の鍵盤をタッチするつもりが一個飛ばしになっていた』とか、自分でわかっていてもなかなか思ったとうりに動かないのは、普段の生活で独立して4指や5指をバラバラで動かすことがないからです。しかも利き手でない方もですから余計です。手だけじゃなく脳も未経験のことをしなくてはならない、ピアノは手で弾くのではなくて脳みそで弾くという部分もあります。何十年か未経験で生きてきた成人と齢3歳で経験するのとでは順応性が違ってきます。
 

 

こんな本を見つけてしまいました、思わず買ってしまいました。まだ読んでいません。

 

友人知人達が御木本メソッドに通っていました。ピアノを弾かずに筋肉のトレーニングをするのです。マシンがいっぱいあってジムのようだったと言っていたのを記憶しています。インストラクターの先生は重りを用いて、ひたすらメトロノームにあわせて指一本一本の筋力を上げていく。面白いくらいピアノの実技試験の成績が上がったそうです。

 

以前トレーニングボードを開発した御木本先生のご本が阿佐ヶ谷教室に置いてあってその本のタイトルが、記憶に間違いがなければ「あなたがピアノが弾けないのは、あなたの脳が悪いから」みたいな感じで、ご覧になった生徒さんが「痛いところを突かれて腹ただしい」と言われたことを思い出します。その方も全くの初心者で、数年でかなり上達されて、ご自分でも楽しめるようになって発表会でも良い演奏をされていました。

 

そして、ピアノ譜は大譜表の上に他の楽器と比べ物にならないくらい音数が多い。それに慣れて自力で譜読し演奏にこぎつけるためには、見て理解する目の訓練も必要です。成人は子供より複雑な楽曲に移行する進度が早いので、譜読みで挫折する可能性も多々出てくるのです。
 

「幼児用の教材はやる気がしないし(もっともです!)、こんな簡単なことができない自分が認められない。モーツァルトの交響曲は全部聴いたし、ベートヴェンの皇帝(ピアノ構想曲5番)はスコアも持っている。」と何回もピアノから離れて、『ドクターショッピング』でなく『ピアノ教室ショッピング』をしている男性と知り会う機会がありました。成人のプライドと満足度を満たす ‘『大人向け』初心者用教則本’ ができればいいのにと思いました。
 

たいていの場合は、前述のコラムで紹介した、挿絵がカラーでない方の教則本で大人の方は勉強を始めてもらっています。思ったようにできない自分に驚きながらも新鮮な感覚を味わってもらえて、音を紡ぎ出すことに喜んでもらえています。ピアノ未経験でも躊躇なく始められたら、未経験なだけに生活の彩りが増え楽しさも増すのではないでしょうか・・・と思うこの頃です。
 

伊豆 伊東の大室山です。富士山のお姉さん山だそうで、大室山の山中で富士山を褒めると嫉妬するそうです。本文には関係ありませんが、綺麗なのでアップしました。

クリスタルボウル体験談

 

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クリスタルボウルという楽器、ご存知でしょうか?古代アトランティスの時代にヒーリングに使われていたという伝説が残っている楽器です。対照的な感じがしますが、工業製品「石英ルツボ」を叩いたところ素晴らしい音がしたので楽器に転用した・・・と言う話を詳しく紹介しているサイトもあります。元来はシリコンクリスタルを培養する器なのだそうです。上の写真が楽器としての「クリスタルボウル」したの写真が「石英ルツボ」です。見た目はそっくりですね。
 

「石英ルツボの写真」エレクトロニクス産業の根幹ともいえる半導体デバイスは、シリコン単結晶を薄くスライスして出来るシリコンウエーハの上に微細な電子回路を形成して作られています。シリコン単結晶は、様々なエレクトロニクス製品に使われる半導体デバイスの出発点となる重要な材料と言えます。このシリコン単結晶は、ポリシリコンとも呼ばれる高純度多結晶シリコンを石英ルツボに充填し、引き上げ機の中で、およそ1500度に加熱・溶融して育成されます。 つまり石英ルツボはシリコン単結晶を作る過程において、溶融シリコンを高純度に保持する最適な容器なのです。JAPAN SUPER QUARTZ社


 

クリスタルボウルにはいろいろな種類がありました。乳白色の大きな寸胴のような「フロスティッド」99.9パーセントが粉砕された水晶でできていています。濁っているのは水分が含有されているからです。その後水晶100パーセントのクリアータイプや鉱物を混ぜたりコーティングした「アルケミー」が開発されました。
 

「アルケミー」


 

「クリアー」


 

CD本を購入して興味ができたのでしたが、なんと友人が「ピアノとクリスタルボウルの演奏会」を開くと言うので、昨年末の真夏、かんかん照りの青梅のカフェまで聴きに行きました。その時はアルケミーでしたが、中が空洞のスティックで鳴らす音は、想像と違ってかなり空虚なものでした。それで、例のCD本の演奏者自ら開く演奏会を聴きに行くことにしました。楽器は「フロスティド」です。楽器としてものが違うと思いました。それでちょっとずつ自分も通ったり養成コースに参加したりしてきました。
 

他のと聞き比べしていないのですが、どうも評判がいいらしいです。永田氏の著作本のCDでは一番いいかもしれません。


 

7つのボウルはそれぞれ「ドレミファソラシ」に対応しています。チャクラ対応セットだそうで、(対応していないクリスタルボウルもあることを最近知りました)ハ長調の音階に準じているように、第一チャクラから第七チャクラまで、7つのボウルがそれぞれ対応しているのだそうです。先だって聴きに行ったクリスタルボウルはただ綺麗な音がします程度でしたが、ここの先生や演奏会前に楽器を鳴らしながら説明をする前座の演奏者の方の音は青梅できたのとは段違いだったのを聴いて、自分も演奏を体験するのなら自己流はヤメておいたほうがいいし、とりあえずこの一番寸胴で原始的な「フロスティド」を教えてもらおうと思いました。
 

一般的なクリスタルボウル。楽器のクリスタルボウルは食べ物を入れてはいけません。タバコの煙も弱いらしいです。が、猫が入るのは大丈夫なのだそうですが、猫鍋の代用にされないように自宅に置くときは注意が必要です。


 

奏法の主は「スティックで叩く」「ゴムマレットで回す」です。腕は2本しかないので同時発音数は2音、演奏すること自体は単純です。ただし美しい音を出すのは練習と少々経験が必要です。
 

私は筋がいい方でした。ピアノ応用が利くからです。腕の使い方や全身の動かし方はピアノも打楽器に近いところがあります。音に対する集中力やソルフェージュ能力は、今までのピアノや音楽経験で培われていました。・・・というわけで初級から上級コースまで、演奏の部分は他の人より体も楽だし苦労もしなくて上手に通り抜けてきました。
 

クリスタルボウルは打楽器です。一つ鳴らしてはその次のボウルを鳴らすの繰り返しですので、ややもすると音のつながりが無くなってしまい、メロディーに聴こえなくなります。一回スティックで鳴らすと残響は30秒以上、マレットで回すと60秒ほど音が止まらないので、鳴らす間隔を詰めてフレーズを作ると、ペダルを踏みすぎたみたいになって音が重なりすぎてしまいます。音をつなげてメロディーが奏でられるようにするのには、ちょっとしたコツがありました。それは楽譜の見方と体の動かし方です。
 

クリスタルボウルの楽譜は鳴らすボウルを数字で、奏法を独特の記号で記されています。一つづつ見ていくのでなくて、「ワンフレーズを一度に見る」こと。一度に見たフレーズの動きを「演奏時の動作をイメージできるようにする」こと。楽譜から目が離れるとその瞬間にせっかく見て覚えたは筈の記憶が飛んでしまうのは、ピアノと同様です。体の動きに触らないように「上手に楽譜を見ること」以上。実技試験については良い評価をもらって、上級コースを修了しました。
 

ところで、ピアノのレッスンに持ち帰ってレッスンしてみました。『譜読みができて音もわかっているのに、音楽が流れなくて停滞してしまいます』が主訴の患者さん、もとい生徒さんが、なんと上級コース終了後第一回目の生徒さんとして現れたのです。「演奏時の動作をイメージできるようにする」はピアノの場合「フレーズから感じるイメージを動作で覚える」に置き換えてみました。「手を上下左右に動かす」「手のひらを動かす」「腕を振ってみる」など、ピアノの前に腰掛けた状態でもできる軽い動作を、フレーズごとイメージを自分の視覚で認知するように動かしてみると記憶も定着しやすいし、執念深く練習しなくてもあっという間に音楽が流れてきて、体の緊張も取れました。
 

色々応用のできて学ぶところの多いクリスタルボウルですが、演奏者として活動するまではもうちょっと勉強が必要なようです。ピアノ+αになるように自分も成長できたらいいなぁと思っています。演奏する機会がありましたらぜひ御贔屓ににお願いいたします。
 

 

 

 

短い時間の使い方2

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白い方のレオくんが亡くなってしまいました。私にとってはベストフレンド、片時も離れず過ごしていた彼を失ったのは辛いことです。
 

1月末から始まった彼の闘病生活。レオ君の介護がマックスになったタイミングで実母が倒れて入院手術と、この4月5月は怒涛の様でした。お陰様で実母は復活の兆し、順調に回復して来ています。
 


 

この期間、自分の練習ために集中出来る時間が細切れで、少しでも進歩するためには心の持ち様や練習の仕方などの工夫が必要だと感じながら、ピアノに向き合って来ました。今回はその経験を描こうかなぁと思っています。
 

 
 

まずは、古い馴染みのある曲でなく、今まで聴いたことがなかった知らない曲に取り組んでみました。前のコラムで書いた理由と、他新曲だと馴染んだ曲を弾くより集中力が必要なので、時間が細切れでも練習が進むかなぁと思ったからです。
 

私はどちらかというと読譜が遅いので、効率よく譜読みできる様に工夫もしています。両手で弾くだけでなくて、必要なテクニック感じが掴めたら楽譜にしがみつかなくても良い様な方法を考えます。
 

例えば、手や腕の動きがスムーズになる様にその部分に必要なテクニックのみ集中して練習します。同じ様な音形を拾ったり、簡素化したり複雑化したものをアレンジして即興的に弾いたりして動きに慣れます。跳躍やアルペジオは片手でかなり早く弾ける様に準備しておきます。(U先生仕込みです)そんな事をしているうちに、その部分は暗譜も自然と出来るし、慣れたところからプラインドタッチでも弾ける様になってきます。(私はブラインドタッチが苦手です)
 

かける時間は一項目。5分から10分ほどでも、目標と目的がハッキリしていれば、隙間時間を有効活用出来るのです。大切なのは、例えば「出かける5分前」でも練習を諦めない気持ちみたいです。
 


 

こんな時は選曲も大切ですよね。気分が落ちる中での練習なので鬱々しない様に、暗かったり深刻な曲調でなくてあんまり内容がない…と言ったら語弊がありますが、ただ綺麗な曲を選びました。それでリストの巡礼から選んだのですが、私は指の滑舌がいい方なので、装飾的なパッセージはそこまで苦労しないだろうと思い、超絶技巧でなくチョイ難しいテクニックが続く曲にしてみました。
 

「音数が多く、真っ黒くみえるような譜面よりは、ほどほどに余白がある感じ」で、自分が苦手としているテクニックやこれから初めて練習する要素が多くなくて、「過去の経験が生かせそうな曲」、「少し頑張れば譜読みが終わりそうなページ数」で選んだのが上手くいった要因ではないかと思います。
 


 

レオくんが治るかもしれないという淡い期待を持ちながらも、逝ってしまうかもしれないと思いながらも・・・いつまで続くのかわからない介護の時間を、自分の鍛錬になるべく支障がないように過ごすため実践したことを書きました。
 

レオくんは5月22日の未明にこの世を去ってしまいました。8歳と6ヶ月でした。
 

彼は最初に調子が悪くなってきた時、とても不安だったのでしょう。身体の自由が効いていた間は、私から片時も離れようとしませんでした。生徒さんが来てもレッスン室から出ようとしないで、大好きな生徒さんや安心できる生徒さんの演奏を一緒に聴いていました。ベッドで寝付くようになっても、人の大好きな彼はチョロチョロ出てきては、小さな生徒さんが入室退室するのを見に来ていました。徘徊が始まってケージに入れましたが、レッスン室のそば、皆さんの気配やケージのそばで話す声がする・・・そんな雰囲気が彼を救いになっていたと思います。
 


 

レオが亡くなって荼毘に付す前の短い時間にもお花を持って最後のお別れをしてくれた生徒さんがいらっしゃいました。生徒さんの送り向かいするために通ってこられた、それも5年ほど前の事なのに、わざわざお花を持ってきてくださった保護者の方がいらっしゃいました。皆さんに可愛がってもらえて愛されて、短い人生かもしれませんが、今頃満足しているのではないかと思います。これを書いている間も涙が止まりません。
 

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