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活動情報

コラム

レッスンでの集中力


 

子供たち全員というわけではありませんが、片方の頭では、親に言われている様にキチンとレッスンを受けよう、と思っていながら、目に入ってきたものを知らない間に触っている様な、集中力の続かない人がいます。年少のお子さんでは普通のことです。
 

レッスン中に、とにかくレッスン室の中の備品や私の私物や楽譜、色々な物が気になるらしい。目に入るとついつい手に取り引っ張り出そうとする。「自分のもの以外は勝手に触らない。」「見せてくださいと言って了解を取ること。」とその都度お話ししますが、頭で考える前にもう既に手が動いてしまう様です。
 

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するとこんな姿になります。
 

園児から小学生低学年までは何をしても可愛いんですが、身長も抜かれる高学年になると、そうも言っていられないので、お小言を言うことになります。しかし、集中力の無さと少々の失礼さは何故か小学生を卒業すると自然に消えていきます。
 

多分、子供は大人より、自分の周りの情報や刺激に反応してしまうのでしょうね。だから、今の情報過多の時代だと、昔の子供より頭に疲れが溜まりやすいのではないかと、ちょっと心配になります。脳の疲れは、視覚情報を2、3秒断つだけでも取れるんだそうです。瞬きをちょっと長くするくらいですよね。
 

その他にも、集中力が切れるケースがあります。私が生徒さんの状態を読み切れなかった時です。
 

ケース1.そんな事はもう出来るんだけどね

ケース2.苦労して頑張ったのにスルーしたよね
 

自分自身もそうであるように、練習してだんだんとできるようになることより、ある時を境に根拠なくできるようになったケースの方が多いんです。階段に例えるとしばらく「踊り場」」が続くのだけど、ポンと1段飛ぶ感じです。で大人ですらそうなのですから、成長過程にある人は、そのタイミングが訪れるまで一年ぐらい「踊り場」にいて、いきなりクリアしていたりします。先週まで顔を真っ赤にして頭から湯気が出そうな勢いでなんとか弾いていたのに、今週は手助けしてあげようとすると、ムッとして無視。‘噛み砕いて教えてくれなくても、こんなの簡単なんですけど!’って無言の抗議でさっさと弾いてしまう。男の子に多いケースです。
 

それと逆のケース、「いっぱい練習して上手に弾けるようになったのに、一回しか弾かしてくれないで、さっさと次の曲に進んでしまった、ふてくされてやる!」女の子に多いケースです。子供たちは弾けるようになった曲を弾くのが好きです。やっと弾けるようになったのに一回弾いて終わってしまった上、あんまり労をねぎらってもらえないとムッとします。申し訳ないけど、初級の教則本は先生にとったらさすがに難しくはないのですが、そこは察してあげなければいけませんね。
 

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勘違いしてはいけないのは、「初心者の方」や「ピアノ暦の短いお子さん」よりピアノ暦が長い先生の方が簡単にピアノを弾いているわけではないのです。解決方法の引き出しをたくさん持っているとか、できることがたくさんあるとは思いますが。
 

例えば、聞いた話ですが、開脚ストレッチで‘90度しか足が開かない人も180度以上開く人も、多少の痛みを我慢しなければストレッチにならないから、痛いのは同じ’なんだそうです。ピアノも同じなんだろうと思います。弾きにくいところを上手にアドバイスしてくれたり、簡単に弾き方を矯正してくれたりする先生は、実は生徒さんと同じような苦労を先にいっぱいしてしまっているのかもしれませんね。
 

・・・「だから、苦労してる先生の話を親身になってちゃんと聞きましょう。」なんて言っても、小学生達にとっては「馬の耳に念仏」なのかなぁ。中学生くらいになると「先生って、きっと頑張ったんだなぁ。」て思うみたいですけど。
 

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発表会の準備2

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発表会まで一か月切りそうになってきました。準備をしなくてはなりません。先ずは、
 

1.昨年使った残りのビンゴカードを探す。

2.生徒さん達のソロ演奏以外の曲を用意する。ミュージックベルだったり、連弾だったり。

3.ミュージックベルを置く台になりそうなものが会場に有るか確認。

4.誰がベルを運ぶか、また、どうやって運ぶか。

…思いつくところから片づけていかないと。

5.全員参加のトーンチャイムの曲の選定。
 

非常に家庭的な音楽サークルのような集まりなので、皆さん一緒に考えて助けてくれます。実は、今回はミュージックベルの持ち運びがいつもと違うます。前は20音も使わなかったから、20音用のケース(阿佐ヶ谷教室所有)に入れて運ぶか、手分けして数個づつ運べました。
 

今回は、ミュージックベルだけで「一人アナ雪」という信じられない芸を披露する小学生がいるので、27音全部必要なのですが、ケースには入り切りません。しょうがないからケースは買わないで、買ったまんまの箱に入って白鷺教室のピアノの下に居ます。
 

普通ならこんな感じ、キラキラ星。

 

一人アナ雪、凄すぎ。


 

この他に、スーツケースに入ったスズキのトーンチャイム2オクターブ、など…。三脚立てた録画は諦めようかな、道中きっと暑いし。
 

自分の分のビンゴのプレゼントと予備とゲストのプレゼント。映像はなし、当日のお楽しみ。
 

2は先生から生徒さんへの心尽しです。一生懸命楽譜を探したり、自分でアレンジしたり、オリジナルを書いたりします。今日は二曲仕上げました。
 

それからミュージックベル用に色でも音がわかるような楽譜を作りました。
 


 

子供たちは、普段弾いている教則本から一曲から数曲とリサイタル用の曲を選んでもらっています。先生の意に反して⁉︎弾きたい曲と教則本の曲を差別的に扱うお子さんもいるんですよね。そういう人は全部が全部ディズニー映画だったりします。私がアレンジの譜面を渡しちゃうと「先生、ここはもう少しカンタンにして欲しいです。」
 

…どうなのかなぁ?と思います。普段は楽譜どおり弾けるように練習したり勉強するのに、楽譜を自分に合わせさせるのって、真逆な発想なんじゃないかしら?
 

5のトーンチャイムは新しい参加者がいるので、みんなが知っている曲を選んだ方がいいのかな・・・「大きな古時計」「ミッキーマウスマーチ」「家路(新世界より)」とか。すると新たに数曲は楽譜も作らないと。
 
 

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今度は何色にしようかな、前に作ったのとバッティングしないようにしないと。
 

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写真は、前回のトーンチャイムを必死に振る人々。
 

ミュージックベルを置く‘長机’は会場で貸していただけることになりました(もしその机に乗りきれなかったら・・・考えたくもありません)。でも、大変!ビンゴカードが見つからない。…問題が解決したり、発覚したりです。
 

こんなこと続きで、これから一か月過ごします。発表会費が終わったらどっと疲れるのは、いつもより脳を使うからかもしれません。
 

雑用を早く終わらせて、自分の講師演奏の心配がしたいです(笑)。 

「絶対音感神話」を聞いて感じたこと

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太極拳のクラスはオバさんが多いです。オバさんの「カテゴリー」は、年齢でも性別でもなさそうです。実際、まだ子供なのに世話焼きオバさんな男の子も知り合いにいますし、私の学生時代のゼミの先生は男性でしたが、魚屋で「奥さん今日のは良いですよ」と声をかけられました。オバさんは生まれ持った性別を超えて、女子力が円熟し過ぎの人がなるのではないかと思います。
 

そのオバさん達が太極拳のクラスの後、連れ立って遊びに来ました。オバさん達はどんなに忙しくてもエネルギーとパワーに溢れています。私が自身をオバさんでないと思う理由は、すぐ疲れてエネルギーが無くなるからです。
 

レッスン室に、ピアノに縁が遠い人が来るのは初めてです。ピアノを習おうと思ってくる人でも、グランドピアノを見ると興奮します。今回の集まりでは、「ピアノを見るのは学校の講堂以来」なんて人もいらっしゃって、ピアノを見ただけで既に満足度アップです。個人レッスン用のピアノの部屋にわたしを入れて五人も詰め込まれているのに、文句も言わないで喜んで下さって恐縮です…
 

「今日は何を弾いてくれるの?」「バッハのパルティータにしようかと思うのですが…」
わたしがスタンバイしてもお喋りは止まりません。隙をついてプレリュードをとにかく弾きました。普通なら、最後のジークまで集中して弾きたいのですが…プレリュードを弾き終わったところで「凄い良い音、癒されるわ〜〜」感想とそれにまつわる話が止まりません。声もデカイ。
 

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音楽大学でも同じ光景を何回も見ました。ボディテクニックの講義、バーレッスンでもセンターでも、一つ終わるごとに「難しい~、出来ない~覚えられない~無理~身体が痛い~そんなに曲がらない~」ほかっておくと感想を口々に語り出して、しかもドンドン声が大きくなって盛り上がり先に進まない、ので先生が必死になって黙らしていました。
 

「絶対なんとかってすごいわね。知ってる?壁を叩いた音もなんの音が分かるんだって。」「それは絶対音感よ、孫が音感無くって。」(お孫さんいるんだわ、そんな歳に見えなかった、太極拳終わったばっかなのに疲れてなさそうだし)
 

いやいや、年少のお子さんは歌っても上手く音程取れないのが普通だし、壁叩いた音が階名で聞こえてもウザいだけでしょう…とツッコミも入れられないくらい圧倒されつつ会話を聞いていると、この方はお琴をされていて、和のものをお師匠さんについてシッカリお稽古されている方だそうです。思わず、絶対音感いらないじゃんと思ってしまいましたが、絶対音感ってあったら何か良いことがありそうな気がするみたいですね。
 

結局、パルティータはジークまで辿り着けないで終わってしまいました。
 

ピアノ、伴奏合わせに来たソロの方や生徒さんなど音楽関係(生徒さんの保護者様を除く)以外の方がレッスン室にいらっしゃったのは初めてかもしれません。
 

言葉では上手く言えないのですが、そうなのか、なるほど…と思うことがいっぱい有りました。コラムの内容も専門馬鹿になっているところも無きにしも非ずかも、と少し反省です。
 

ちなみに、この日のメンバーで、オバさんでなさそうな人も混じっていました。その方もわたしと同じくらいの声量で、やはり周囲に圧倒されている風で、チョット救われました。
 

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音を感じる力 2

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「音を感じる」…
 

色んな意味があると思います。
 

耳に届いた音に反応する、例えば音名や音の相対関係が判別出来る。リズムが頭の中で音符になって即座に理解出来る。書き取り聴音をすると、この手の能力と理解度は白昼に晒されます。だから、音大音高の入試試験では試験科目に入っていることがあります。
 

クラシックの和声感とポピュラーでは大分違います。例えばジャズの人は、階名で下から「ミ ラ レ」という和音が聴こえたら、「ドミソ」つまり Cコードに聴こえます。これはベースの音、この場合は実際には鳴っていないbassの「ド」の音頭の中で一緒に聴いているからです。
 

その続きで、ジャズのピアノソロの場合、頭の中でベースやドラムスが鳴っているのに合わせて演奏しているので、所々で根音を省略(クラシック的な言い方ですが)したり、またはベースラインを弾いたり、単調にならないよう音をチョイスすることが出来るわけです。
 

リトミックの創始者、エミール・ジャック・ダルクローズは、このような内的聴覚の事をインナーイヤーと呼んでいました。ダルクローズは音楽大学の学生に内的聴覚が必要だと考えていました。彼の求めていたのは「音感、音程、調性感、和声感が実際に音を聴かなくてもわかる」レベルです。
 

なぜなら、ダルクローズは1865年生まれの作曲家だからです。この頃はパソコンがありませんでした。
 

例えば…
 

オーケストラの曲を書くとします。いちいち音を出して確かめないと書けないなら、書いている間自分の側にオケを置いておかなければならなくなります。大変、非現実的な作曲の仕方ですよね。
 

作曲科の学生は、一生懸命この能力を磨くわけです。和声の課題を解きフーガを書きそして管弦楽法を学び、素晴らしい過去の作品を写経?もします。ダルクローズソルフェージュはこの能力を得るためのトレーニングだったのです。
 

幼児向きの音感教育法の知られているリトミックのソルフェージュが、実は敷居が高いとわかったところで。
 


 

21世紀、自宅にパソコン、スマホを保有している人が殆どの現代、頭の中で音を鳴らさなくても、MIDIで音源を繋げばキーボードが一台でたいていの音は鳴らしてもらえるようになりました。曲を作ったり、書いた音を確かめるのには大変便利にです。これらDTMの初期費用は10万円くらいです。
 

その初期費用さえケチるとなると、やはり、経験を積んでインナーイヤーを鍛えるしかなくなります。適当でよければ、それ程難しい事ではありません。例えば、ピアノコンチェルトはピアノソロと大体同じメロディをオケが演奏してくれる場面が多々あります。
なので、「こういうピアノ曲だとオケにするとこんな感じのアレンジ」って、とても参考になったり、わかりやすかったりします。
 

頭の中にチープでも音源ソフトがあれば、ピアノ譜を見ても勝手に管弦楽に置き換えて鳴らしてくれたり、または譜面に書かれていないオーケストラの呼吸みたいなものも、感じることができるかもしれませんね。
 

そういえば、私も吹奏楽部の生徒さん達から、クラリネット二管とピアノ伴奏で吹けるように、「トトロ」と「もののけ姫」の挿入歌のアレンジを頼まれたとき、テレビでオカルト映画を見ながら書いてました。テレビが付けっぱなしで、ながら見だったのですが、頭の外で悲鳴やその他のBGMや効果音が鳴っていても、あんまり気にならないものです。(かえって静かだと気が散ってしまって・・)
 

音を聴く力とは「聴こえていない音を主体的に創造する力」なのだと思います。ですから、ソルフェージュの力を単に絶対音感に置き換えて発信する教育機関は少し偏りすぎなのではと感じるこの頃です。
 

音を感じる力


 

お子さんの場合、引っ越しなどのご都合で、新しい先生を探さないといけない時があります。今までの先生良い関係を築いてた場合辞めざるおえないのはさぞかし残念だろうなと思います。体験レッスンではそのような生徒さんと出会うこともあります。
 

教則本の書き込みやちょっと付箋に貼られたメモなど、これまでの先生が、どのような事に気を配られて教えてきたのか垣間見れますし、愛情も感じられます。「手首の動きに気をつけて下さい。頭のいい方なので理解されていると思います。」多分、レッスンに同行できなかった保護者様宛のメッセージなのでしょう。その方の手や腕は無理のない綺麗な動きかたをしていました。
 

私は初めて出会う生徒さんが、何を感じて何を思って曲を弾いているのか、興味があります。前の先生の書き込みも興味津々です。未就学児から小学校低学年までなら、1日30分目安で練習すれば、達者に弾けるようになります。メカニックが強いお子さんは、練習時間を確保して毎日毎日頑張って練習したのだろうと思いながら聴いています。
 

よく弾き込んだ曲はかなり難しくても上手に弾けるけど、知らない曲にはどう対処するのかな?とか、初見演奏や譜読みの仕方も気になります。
 

それから、ピアノを弾くのが楽しいのか、今弾いている曲が好きなのかも気になります。
 

曲に対してイメージが湧かないまま弾くと、指の運動になってしまいがちですが、初心者や子供の教則本の多くは、曲番号の他、タイトルとちょっと気の利いてた挿絵が付いていたりします導入期な本には歌詞まで付いています?先生が挿絵に注目させなくても目に入って来るので、少なからず演奏に影響かありそうです。
 

(ラーニングトゥプレイ1巻の「ノアの箱舟」の歌詞、頭の中でリフレインします。「お船の中は、トラ、カバ、キリン」なんでノアの箱舟に乗った動物がこのラインナップなのか…のように、不思議なフレーズも有ります。)
 


 

なので、前の先生がどのような教則本を選んでいたかも、過去どのようなレッスンを受けていたのか知るヒントになります。「キチンと弾いているけど、強烈に音が汚い」とか、「スラスラ弾いているけど、左手のハーモニーとメロディが合ってなくても平気」なんていう方も来ることがありますが、実際に私のレッスンに来ることになると、今までしなかった苦労をしてしまうのかなぁ?と思うこともあります。
 

例えば…
 

私が体験レッスンの時よく口にするのですが、「この曲はどんな感じがしますか?曲のこの辺りは楽しい感じですか?悲しいですか?」は、同行された保護者様が、「今までの先生から一度も尋ねられたことがなかったので、その質問にはうちの子は上手に答えられません。」とお子さんに代わって答えらたことがありした。
 

でも、音を聴いて心が動くということは、ソルフェージュ能力の一番基本だと思うので、熱心に‘書き取り聴音’をする以前に意識してもらいたいところです。
 

と、これは教育的な観点で。本音のところは…
 

導入期の教則本の2巻目くらい、シャープやフラットが出てくる時期に教材として、フラットは‘短調’つまり『ハ短調で「ミ」にフラットがつく曲』が来ることが多いです。シャープの場合は、調性外音が多いです。装飾的につくか、また多くは借用和音です。
 

5度上調に部分転調するためのドミナントの和音で臨時記号のシャープが出てくることがあります。大抵はハ長調の曲なので、「ファ」にシャープがついて『ト長調』に転調します。こんな高度な和音が意外と早く登場するのですが、スルーする先生も多いのです。でも私には借用和音で転調することは大変テンションが上がることなので、ついつい熱く語ってしまいます。そんな時に、生徒さんが共感してくれると嬉しいものです。つまり・・・「同じ花を見て美しいといった二人の心が…」なんて昔フォークソングがあったような気がしますが、「同じ音を聴いて、色々いい合える生徒さん」とレッスンしていた方が、レッスンしている自分が楽しいからです。
 

メロディライン、和声進行、和声のつながりが作り出す大きなリズムから感じ取ったものを演奏する方が、ただ弾くことだけに一生懸命で何も感じないで弾くより幸せなことだと思います。小さなお子さんの『指のメカニック』と『感受性』をバランス良く伸ばしていくことは先生にとってはやりがいになるのだと思いますし、自分に取っても課題としているところです。そして最も大切なことは『メカニック』と『感受性』が、「作曲家の意図することを読み取りそれを実演で表現する」ための『テクニック』に結実していくことだと思っています。
 

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