身体を使う事の共通点2
「UTAGE」という番組がありました。その番組を見て初めて知ったアイドルや歌手の人もいます。昔の曲でカラオケでよく歌われている曲を完コピしたり新しい振り付けで踊ったりハモったりと、意外にも芸達者な一面を見せてくれるアイドルもいます、また本当に歌唱力のあるアーティストが一回限りのコラボレーションをしてハモったりと、なかなか面白かったです。
その中で「Kis-My-Ft2」なる変な名前のジャニーズグループが壮絶なハモりで笑いをとっていましたが、そのメンバーの千賀健永さんがキーボード一本でアーティストの歌の伴奏をするシーンは、ものすごい緊張感でした。本当にピアノを触ったこともなかったのに、頑張って練習して、何とか元CHEMISTRYの川畑要さんの歌伴を一人で成し遂げたのはとても感動的でした。それから番組終了まで、たまにあるスペシャル番組でも、一生懸命な姿と感動的な演奏を聴かせてもらえました。「UTAGE」は録画なのに編集しないで放送されるので、ピアノ伴奏の‘一発勝負の緊張と怖さ’は画面を通しても十分すぎるほど伝わってきました。
SMAPのメンバーの草彅剛さんも自身のコンサートで、香取慎吾君とのデュエットで弾き語りをしました。彼もピアノは初めてだったそうです。メイキングのDVDを見たら、舞台袖にキーボードが置いてあって、ライブの最中は袖に下がるたびにキーボードを触っていました。草彅さんは「生ピアノの演奏はすごく緊張する」そうで、鍵盤を触ってないと安心できなかったそうです。飄々とした感じの人なので意外でした。
二人が共通していたのは、「ビートを刻めるリズム感」と「ハーモニーのリズム感」があるということ。SMAPは25年選手なので言うに及びませんが、「Kis-My-Ft2」も下積みが長くてメンバーは結構いい年になっているらしいです。きっとダンスや歌のキャリアがピアノ演奏に影響しているに違いありません。
ところで、元巨人軍の大投手「桑田真澄」さんの本で、ご自身の肘の手術後のリハビリメニューの中に「ピアノの練習」がありました。びっくりです。指先の感覚とリズム感を失わないためにピアノを習い始めたそうです。当時は毎日2時間、ピアノの練習に当ていたと書かれていました。
演奏家が、アスリートの練習の仕方やメンタルの持ちように興味を持って、彼らの著作を読んだりするように、アスリートもピアノの練習がスポーツの鍛錬につながると思って取り入れたりしていたんですね。
身体を使うこと、極めなくても2つ3つとちょっとづつ手を出してみると、相乗効果がありそうです。
(この二人組はただ暴れているだけです・・・ )
2016.04.15│コラム
身体を使う事の共通点
ところで、3月13日のブログ「力みを取るためにすることは・・・」で登場した我が母ですが、絵に描いたような親バカぶりを発揮して、テニス仲間とコーチに娘のブログに自分が登場したことを話してしました。
どれどれ・・ということになり、すぐさまブログはその場にいる全員の前で読み上げられてしまいました。“母は、身の丈にあまるような優秀なコーチについているんでしょうね”のくだりで拍手が起きたそうです。
母のテニス仲間やコーチは、テニスを知らない人が、テニスをしている人の感覚について結構的外れでないことを書いていることについて驚かれたそうで、「身体を使うことは、やっぱり共通点があるんですね〜。」て、話で終わりました。
確かに私はラケット振るどころか持ったこともないのですが、母のコーチやテニス仲間の方々に共感してもらえて良かったです。
楽器演奏=身体を使うこと
そう思えば、アスリートと同じくらい身体のケアが大切だと思います。また、ピアノを弾く時の身体の使い方、身体からメンタルに及ぼす影響も無視できませんよね。
母のテニスのコーチは、身体の使い方とメンタルの持ち様を変えて「テニスが上達するゲーム」に勝ちやすい方法を教えてくれています。
母自身は、自分より若い人に混じって練習や練習試合をして「ちょい無理」をした分、テニスのない日には身体が疲れすぎない様に勤めている様です。
ピアノはテニス程体力や筋力を使わなさそうですが、メンテナンスは必要ですね。必要な筋肉がないのに、無理に大曲を弾くのはかなりリスキーです。
その点は趣味と割り切っている人の方が賢いです。よく弾けると自覚していて他人からも上手な人だと認識されている人の方が欲が出てしまい、無理をすることからの怪我の危険性が高くなります。
‘人生を長く生きて色々な垢がついている’大人にありがちな、「傲慢、強欲、怠惰、無知、暗愚」の罠に落ちなければ、ピアノを弾く人生は素晴らしくなると思いますが、それを全部克服されたとしたならば、どんな世界でも一流になれそうです。
ピアノを弾くことで自分を時々振り返る…そんな事もあるかもしれませんね。
その点は、子供の人は無欲なので、身体との付き合いが上手でメンタルも強いです。
羨ましいです。
子供は、成長して勝手に身体が大きくなったり、頭が良くなったり、筋力がつくので、努力なしで勝手に上達していきます。だからほっておくと怠け者になりがちです。
どうしても、お母さんまたはお父さんと先生で少しづつお尻を叩くか、楽しいイベントや弾きたい曲で釣って「発表会に出たいでしょ、だから、あの曲が弾けたら良いね〜」と、ワクワクさせながら練習させていますが。
話は逸れましたが、野球でも子供には変化球を投げることを禁じています。大人と同じプラクティスをして重たい負荷をかける事の弊害はピアノの練習でも有ります。小学生低学年くらいまでは、長時間の練習は避けたほうが良いでしょう。
ところで、「遊び弾き」や「でたらめ弾き」は大切な経験なので、やめさせないでくださいね!
2016.04.13│コラム
無理をしない練習
楽しいこと=⁇
人それぞれ⁇のところに入る言葉は違うでしょう。
旅行に行く、家族で遊園地に行く、デートする、部屋に閉じこもって読書する、美味しいものを食べる、ペットと遊んだり世話をしたりする…等々。みんな脳の餌になることだそうです。
その他に、「努力をする」という楽しみもあるそうなんです。
人間は元々「努力遺伝子」があるらしいです。なので努力することも「楽しみ」の一つに感じられるそうです。が、一方で努力遺伝子のせいで徒労に繋がる無駄な努力をしているかもしれません。どうせなら努力が報われそうなことをした方がいいのですよね。「勝てそうなゲーム」を選んでいくことによって、成功体験に繋がったり、人生の全体運も上がりそうな気がします。
ピアノの先生も「ピアノが上達するゲーム」に勝てる方法を教えてくれます。だから、一人で練習するより先生にレッスンしてもらったほうが近道を通って上手になります。
ところで、上達の実感があると「努力=向上=楽しい」の図形が成り立ってきて更に楽しくなります。陥りやすい罠は「努力=満足」になることです。
一生懸命努力していることで、なんか満足しているとか…自分の子供が頑張っている姿を見ていると満足だとか…
当たり前ですが、子供が一生懸命努力している姿を見て、嬉しくない親はいないでしょう。次から次と課題に挑戦して、たとえ結果が出なくても、根気よくコツコツと努力し続ける我が子の姿は美しく見えるかもしれません。
私の母は上記のタイプでした。しかし、私は子供の頃から努力のできない人で、心中努力はダサいと思っていました。
実は、この母娘は結構上手くいっていました。母は娘が一生懸命努力してピアノを弾いていると勘違いしていたのですが、わたしにとっては一定時間練習するのは、ただの生活習慣だったのです。音楽の勉強ができたのも母の応援があったからなので、今思うと心苦しいのですが・・・
とは言っても「コツコツ一生懸命努力する…しかも結果が出ようが出まいが、次々と挑戦し続けなければならない」なんて自分の身に置き換えたら絶対イヤですよね。
頑張りすぎないこと、これが長く一つの事を続けられる秘訣かな?と考えたりします。
私が子供のコンクールに消極的なのは、そんな考えが、頭をチラチラしてしまうからです。その代わりに年2回発表の場を持つ様にしてきました。
皆さんマイペースですが、ピアノがイヤになったり、練習が辛くて辞めてしまう人は今までいませんでした。それが教室として一番大切な事なのかな…と思っています。
2016.04.09│コラム
大人の人と子供の人のレッスン
音楽ゲームをしていた時、小学生から「そういえば、ミキ先生は大人の人だった…」と思い出したかのように言われたことがあります。ピアノ教室に来る子供達はみんな大人びています。一人の生徒として、大人と対等に舞台を勤め、一人前に扱われることにも慣れているからです。
クリスマス会など、少しくだけたイベントのプログラム順を「あみだくじ」にしていた時がありましたが、一度背の順にしてみようか、と冗談交じりに言ったら、背の高い中学生から「私が一番最後になる!!」と猛抗議を受けました。子供達の見た目は大きくなって大人と変わらない身長ですが、趣向や嗜好は見た目に逆らって、大人と大分違うようです。
MYMUSICに来ている生徒さん、ざっくり年代で分けると「未就学児、小学生から30代まで、それ以上、」でレッスンに求めるものが違ってくるみたいです。どうも30代前半で脳の構造が変わるらしいのです。それが原因なのかと思い始めました。
30歳までは、脳の回路が必要なところに作られたり、逆に要らない回路を壊したりしていますので、ガンガン詰め込んで丸暗記風のインプットが出来ます。意味記憶が得意です。
それ以降の脳は、作ったり壊したりが活発でなくなって、回路が密になります。エピソード記憶が得意になるそうです。なので、若い時と同じ様にガンガン弾いて暗譜しようなんて、やってしまったら頭に入ってこなくなった自分に気づいて「歳をとったので覚えられなくなった」と感じてしまうのです。
ところで赤ちゃんの脳はすごくいっぱい回路があって、環境に適応しながら要らない脳細胞や回路を淘汰していくらしい。例えば、日本語にない発音を聞き分ける能力は6カ月から8カ月でなくなってしまうとか…NHKの番組てみた記憶があります。
4歳から30歳の生徒さんは、「やったー弾けたー!」が到達点で、弾けることが一番の関心ごとみたいです。30歳より歳上の生徒さんは、曲と向かい合う事によって色々気付くことに関心がありそうです。曲や作曲者にまつわるウンチクも大好きです。ピアノを入り口にして知らなかったことや知っていたこと同士を結びつけて新しいことを発見することが楽しいみたいです。
30代以上の生徒さんは、先生の話を熱心に聞きます。30代より下の生徒さんは、先生の話しより、今この瞬間の自分の興味を持ったことに熱心です。
なので、私は年上の生徒さんのレッスンをしている方が「相手にしてもらっている感」が強いです、子供の生徒さんの気を惹くための苦労はハンパではない・・・(涙)
ところで、前述の太極拳の先生は「年齢に合わせた体の使い方をすることで、体が長持ちする」と言っています。最近の脳科学で「脳が完全に成熟するのは60歳」とか「頭の使い方を年齢に合わせてチェンジすれば、脳は一生成長する」とか・・ちょっと昔では「歳をとったら脳は馬鹿になる一方だ」といわれていたのが、嘘のようです。これで再生医療が発達したら、どうなるんでしょう。歳をとっても「元気で体の機能も衰えない、脳は若い人の数倍の記憶を蓄積したまま快活働き、見た目は20歳」・・そんなお年寄りばっかりの超高齢化の世界が出来たら怖いような・・・
2016.04.07│コラム
とりあえずの太極拳
ズルズル通っていた近所のフィットネスクラブが、3月末でクローズしてしまいました。行ったところで何かしらのストレッチとちょっとした筋トレ、または緩い有酸素運動ぐらいでしたが、身体を動かす機会が全く無くなるのも健康に悪い気がしています。
太極拳のクラスは、有志でサークルを作りました。それに乗っかって、週一回、鷺ノ宮体育館で太極拳を習うことにしました。
太極拳はキツイのか緩いのか、疲れるのか楽なのか…それすらさっぱり分かりません。
見た目のポーズや動きが合っているかどうかよりも、その時々の身体の中がどんな状態なのかが大切なんだそうです。関節を窮屈にさせないで、骨盤を広げた状態で動いていると、おのずと正しい位置に手や足がきて、後の動作はその「あらわれ」なんだそうです。
この先生の太極拳は「筋力を使わずに自分の身体を動かす」という究極に無理のない身体の使い方を学べるそうです。
モダンバレエなどの呼吸を伴った動きと似ているようです。息を吸って肺が広がり胸郭から腕に伝わる、息を吐いて肺がしぼみ動きが末端に伝わってゆく・・・国立音楽大学の「ボディテクニック」の授業で習いました。「ボディテクニック」は真夏の一週間、暑さ地獄の体育館で、9時5時というスパルタな講義で、たった一週間で猫背が治りました。
その頃はまさか学生時代から卒業してもボディテクニックの伴奏を弾き続けるとは思ってもいなかったのですが・・・
話が横道に逸れてしまいました。この先生の太極拳は「筋力を使わずに自分の身体を動かす」という究極に無理のない身体の使い方なので、ヨガのように心身の「弛緩」を味わうために、筋肉を「緊張」させ刺激を与えることもなく、エアロのような筋肉を自分の意思で一生懸命動かして筋力を使うこともありません。
勉強になると思いました。若いうちはピアノも自分の筋力をいっぱい使ってがむしゃらでも弾けますが、音の鳴りが全然違います。若いうちから学んでも損はありません。
ピアノは指先の「重さの掛け替え」をいかにスムーズに行うかが勝負です。最初のモーションから、いかに動きを止めないでスムーズに動けるか、最初のモーションがきっかけになって次の所作が「あらわれる」とピアノも答えてくれると思います。
鍵盤上の2次元で見るのではなく高さを加えた3次元で捉え、いかに手や体が振舞うか、「音楽を視覚化する」はリトミックの専売特許ですが、「手の振る舞いがそのまま音になってあらわれる」と考えていいと思います。手や体がどんな動きをしているかチェックするといろいろなことが分かってくるかもしれませんね。
体を使いって動くことは、いろいろ共通点や参考になることがありそうですね。今回は大人向きの話になってしまいました。
2016.04.06│コラム