指導する側のリーダーシップ
活動情報の書き込みを3日サボってしまいました。その間にAmazonで本を3冊も買って読んでいました。いっぺんに3冊も買ってしまい情報量が過多で頭がついていきません。本屋でチラ見していたら買わなかったかもしれないこの3冊の本。本当に優秀な生徒さんが育っていて、教室自体も大きく育ち、先生も立派そうです。うらやましいようで、そうでないような複雑な感情が残っていますが、内容的には勉強になりそうです。
自分のレッスンで取り入れていることの重複もありましたが、改めて「ソルフェージュ」「音楽理論」「読譜力」の三大要素を三十分から四十分のレッスンでバランスよく指導していくか、とても大事なことだと思いました。
この本に登場する先生、大規模経営にも成功されて100人500人と教えていらっしゃる教室も紹介されています。先生方の教室運営とレッスン指導におけるリーダーシップは、どんなビジネスモデルに置いても通用しそうです。
しかも在籍されているレッスン生も信じられないくらい早熟で、小学1年生でバッハの「インベンション」幼稚園児で「ブルクミュラー」を一回のレッスンで二曲ずつ仕上げてくるとか・・・ただ指導する側が思い描くレッスンが実現するということは、思い通りの反応にならない生徒さんがいないって現実にあるのかな?私は大人の方でもお子さんでも、本当に一人ずつ全く違ったレッスンしかできないので、そんな大手塾みたいにレッスンできる指導力がすごいなぁと素直に思いました。
私が指導力のなさを反省していると、小学高学年と社会人の生徒さんが口を揃えて「誰もそんなの望んでいないから。先生、大丈夫だよ。」と・・変な慰められ方をしました。(涙)身の丈以上にレッスンが進まなくても、音楽能力が高くならなくても、“先生に手伝ってもらい”ながら“弾きたい曲を弾いて楽しい”方が良いんだそうです。
なんで一人ずつレッスンが違っちゃうのか・・・
例えばこの日、小学低学年の生徒さんが来ました、簡単そうな譜面なのに弾けません。4拍子の左手がメロディーの曲でしたが、右手が裏打ちのリズムを和音で刻む伴奏形の、なんと右手の「2拍と4拍」に入る裏打ちが、どうしても「1拍と3拍」に入ってしまうのです。とうとう大爆笑してこの日この曲は終わりました。「先生、左手だけは来週までに完璧にしてくるからね!」っと自分で宿題を出し(どの子も自分で宿題を決めます)、嬉しそうに帰っていきます。後の生徒さんは会社員の方、なんと同じような左手メロディーの右手裏打ちの伴奏系の曲です、しかもリズムが変・・・『ブルータスお前もか・・・』はシェイクスピアだったでしょうか?まさか小学生と同じ言い方はできないけど、アドバイスどうしよう?この方、最後は笑ってごまかしていました。
前述の小学生、次の週は確かにメロディーをしっかり両手で?弾けるようになってきました。「先生、右手の伴奏弾いて」と頼まれて弾くと、次は「パーカッションで・・そうだね、カスタネットとか太鼓とかがいいかなぁ、で私が左手弾いている間、右手のリズム叩いてくれる?」と頼まれ、「じゃ今度は私がカスタネットの係になるから、先生メロディー弾いてくれます?」。なんと裏打ちができました。小さな生徒さんだと思っていたのですが、自分でアイデアを出して勝手に出来るようになってきました。「じゃ、次は右手を練習してきます!」と苦手なリズムの克服のため教則本は牛歩の進み方ですが、本当に楽しそうです。
私はこの曲のレッスンの間は本当に見守りに徹しました、と言うか口も挟めませんでした。指導する側が思い通りのレッスンをす時間もあれば、こんな生徒さんの自発性任せのレッスンもあってもいいのかな?やはりバランス良く出来ると理想かなと思います。
2016.03.26│コラム
導入期の教則本選び…後半
前回はドイツの本からバイエルと、フランスの本からメトードローズを紹介しました。
近年は日本の指導者が良書を出版していますし、アメリカの教則本もとても使い易いです。
日本の本は、初めから日本の子供向きに書かれていますので、曲名や挿絵が子供たちに共感されやすいです。日本の子供の発達に合わせた教材としては、一番なのではないかと思います。実績のある先生の経験が詰まっているので、導入がとてもスムースです。
アメリカの教材はとにかく分かりやすいし、これから教材を使っていく子供達に親切です。アメリカの子供の方が日本の子供より多少不器用な傾向があるので、余裕がある進み方です。
大きな利点は「ドレミ」の階名だけでなくて英語の音名表記に触れることで、コードネームにも慣れることができます。
教材のお国柄も大きい特徴となるほか、最初の導入も大きな特徴になります。
1「最初は5線より少ない線の楽譜を使う」
2「黒鍵から触れていき慣れてから白鍵を弾く」
3「最初から大譜表から始めて、中央のドから上下の音を順番に覚える」
4「高音部譜表(右手)、低音部譜表(左手) が、ばらばらで出てきてから大譜表に進む」
1の、楽譜は、「同じ音か、隣の音か、上っているのか下がっているのか、一個飛ばしなのか、」を線で読んでいく譜読みの仕方に最初から慣れるために簡略化した楽譜で刷り込みをします。ペースメソッドのように読譜力を重視するメソッドのやり方です。
2の、黒鍵からはじめると「黒鍵アレルギー(黒鍵を弾くだけで難しいと思ってしまう)」がないから良いとか、出っ張って触りやすいので「黒いところだけ弾いてね。」と指導した時に外さない。とかメリットがありそうです。
黒鍵の「二つ」と「三つ」を最初に意識するのも良いことだと思います。
また、ピアノでの「自由な即興」、パーカッション的に音を鳴らしてみながら、「音の高低や短い長い、リズムを感じる」というやり方での導入がしやすいです。
ただし黒鍵で導入する教則本でも、ずうっと黒鍵ばかり弾いているわけではなく、ちゃんと白鍵に降りてこられるように作ってあります。
3の、真ん中の「ド」から五指が鍵盤に乗る状態で、右手が「ドレミファソ」左手が「ドシラソファ」と音域が広がる教則本は、真ん中の「ド」を意識して刷り込むことで、絶対音感で音を聴く習慣になるし、子供も取っつきやすそうです。
4は、大譜表(両手になった時)の衝撃がハンパないので、使わないことにしました。(私がそうでした。まだ相当チビだったはずなのに覚えています。)
その他にイメージ重視の不思議ちゃんな導入をする教材もありますが、先生の方がかなり勉強しないと使いこなせなさそうなので、色々試してお蔵に入った本も、実は多々あります。
子供の発達は早いので、数ヶ月が大人の数年くらいに体感するみたいです。どんな良い導入をしたと思っても簡単に忘れるし、半年前に使っていた楽譜を見て「むかしに使っていた楽譜だ。」と言うし、ピアノだけでは泣いちゃってリトミックと併用した子が一年も経つと「リトミックなんてしたかな?泣いてた?嘘でしょ。」と…
ところで、「さぁ、ピアノを初めよう!」と学齢期を過ぎてから思った時、あまりにも可愛らしい挿絵満載だと抵抗があるのではないでしょうか?挿絵や五感で音を楽しむより、手っ取り早く楽譜が読めて、五指が動くようにしたいと思うはずです。大人の場合、特に弾きたい曲が既にあると尚更です。
なので、導入の教材や教則本は、性別や年齢、性格をトータルに考えて、一番合うものをチョイスしたり、生徒さん自身に選んでもらうのがいいかな、と思っています。
2016.03.23│コラム
手先から動かない!!
体には、いっぱい関節や骨が繋がっているので、踊りの経験とかなくても、意識しただけで身体の使い方が変わります。美しい身のこなしや洗練された仕草・・女子力を高めるためにも重要です。
さて、ピアノに対してはどんな意識で体を使っているでしょう?「音を追っかけているので精一杯!どんな姿で弾いているなんて考えたこともないです。」・・ですよねー。
子供(1歳児から4、5歳児)のリトミックでは、成長段階に従って、大きな筋肉運動から微細な筋肉のコントロールに進行していく流れの教室がほとんどだと思います。もっと大人になったとしても(小学生以上)大きな筋肉を動かして再確認することは大切です。
「◎◎のワルツ」なんて曲名、子供の教則本からいくらでも出てきそうですね。ワルツステップの簡単バージョンに味付けして振りを作って低学年の生徒さんと踊ったりしていると、そこらへんにいたお兄さんお姉さんのレッスン生が「前にこの曲やったの覚えてる」と言いながら混ざって踊りだしたりします。音楽に合わせて自由勝手に動くのは、(ダンスには見えないかも・・・涙)恥ずかしくなければ誰でもとても楽しいものです。
さて、体が緊張する傾向にある大人の方は結構いらっしゃいます。前に書かせていただきましたテニス好きの母も、ラケットを振る動作をするときに、脱力して振り抜けるのが苦手なタイプだったと思います。前の先生からは「フォームを正しくして打ち返す」ように癖をつけられたので、球を打つときに「正しい体の形にしてきちんと打ち返そう」と無意識に身構えていたことがあったそうです。それも今のコーチに就いた早々直されていましたが。
筋肉をしなやかに動かせるに越したことはありません。「胸の大きな筋肉から派生する呼吸を伴っを動きを、手先に伝えていく」や、「ロールアップ、ロールダウン」(この際の「ロールアップ」は、ピラティスなんかでよく使う動きです、デニムのお洒落な履き方ではありません)を経験したことがない人は、やってみるとかなり衝撃的なようです。なのでスペースのない白鷺教室でさえも、変な体操みたいなのをしてもらうことがあります。
単に「動いている体の部位」だけでなくて、大きな筋肉からの動きを末端に伝えてあげる。リトミックのリズム運動で、リズムをステップするのは、リズム感と言うよりも運動の経験として大切なことだと思います。また、大人になっても様々な肉体感覚を持っていることで、より楽しく深く音楽に触れ合えるのではないかな、とも感じるこの頃です。
2016.03.22│コラム
導入期の教則本選び・・前半
お引越しなどで他の地域から移ってきた生徒さんが、この時期に増えてきます。せっかく習っていたから、空白の時期を作りたくなくて、親御さんが急いで教室を探すのかな、3月4月の新学期で忙しい時期に新しい教室にも通い始めるのは、お子さんにとっては大変なことだろうと思います。
そういう生徒さんは、私が使った事がない教本を持ってこられる事があります。
あれもこれも急激に変わるのも良くないので、今まで使っていた教本で続きを継続するようにしています。お陰さまで定期的に楽譜売り場で立ち読み研究する以外にも、いろいろな教材を目にしたり、使う事ができました。最近は良い教則本がたくさん出版されています。先生もいっぱい勉強しないと追いつかないです。
ところで、私が教室を始めた時から、バイエルを持ってくる人が絶滅しています。
バイエル上巻から始まって、右往曲折あっても最後なチェルニーにたどり着くという、昔ながらの系統は今時の子供には食いつきが悪いようです。
バイエルは「ドイツの本」です。導入の赤本は、現在「最悪」と言われていますが、ミッキー版が出たりして、今の子供にも使ってもらえるように、それなりの努力がなされているようです。
下巻は古典に結びつくような左手の伴奏形(アルベルティバス)が達者になります。この伴奏形を身につけるとメロディに簡単に伴奏がつけられるようになります。定型の伴奏形なので面白みはありませんが、基本なので保育士は勉強しておくと役に立ちます。が、趣味の方やこれからいろいろな楽曲に親しんでいく未来のあるお子さんの教則本としては、確かに時代遅れの感があります。
何しろドイツ音名を覚えさせようとするので、「ド」は「C チェー」とカタカナで表記されているのは、私が見てもドン引きでした。「チェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー・ハー」で歌うのは高校1年コールシューレの視唱の試験以来です。
この後、ブルクミュラーやチェルニー100番を通過してチェルに−30番にたどり着く、のが一昔前からの王道でした。
メトードローズは「フランス」の本です。最近は猫のイラストの可愛い版も出ています。猫狂いの小学4年生はイラストで食いつきました。一曲づつに表題がつき、親しみやすいメロディとバイエルほどには型にはまらない、初歩ながらポリフォニック(多声)な曲も見られます。その後「ピアノの練習ABC」から「ピアノの練習ラジリテ」と進み、結局は「チェルに−30番」にたどり着く・・・
というわけで、経過はどうあれ結局はチェルニー30番、40番50番、60番とチェルニーを勉強させられたのでした。
導入期の教材で選択肢もなく「バイエルの赤本」が出てくる先生なら、教え方がかなり古いと思った方がいいでしょう。
長くなったので前半終了します。続きもちゃんと近日中に書きますね。
2016.03.20│コラム
椅子の高さは大事!?
阿佐ヶ谷教室で生徒さんを待つ間、いつもより低くなっている椅子で弾いていました。
阿佐ヶ谷教室で椅子が低い状態なのは珍しいなぁっと、子供達は椅子を上げっぱなしで帰っちゃうし、大人の生徒さん達も高い椅子が好きなのか、子供の高さで違和感ないみたいなんです。
生徒さんがいらっしゃいました。ハノンからスケール(音階)を弾いてもらいます。するといつもよりぎこちないのです。鍵盤を一生懸命押してもカスカスな音だし、指先だけが動いて、横移動に体がついてこないのです。
鍵盤の端から端まで弾くような曲は、椅子を高めにした方が弾きやすい人が多いようです。単純に高い位置の方が手がとどきやすいからと、視覚の関係もあると思います。
椅子を高くしてから再度座ってもらい、坐骨の左右の骨に体重が乗っていることを確認、頭を下げ過ぎないように気をつけて、鍵盤に左右の手を揃えてのせ、自然に前傾するその状態で、トルソー(頭と腕、足、脚を除いた胴体)が崩れないように、そのまま鍵盤を雑巾掛けするように端から端まで、左右に動かしてもらいました。低い位置で行うより体が楽に動くそうです。
ちょっとした高さの違いで弾きにくいフォームになってしまうことがあります。自宅のピアノでは自分しか弾かないので、椅子の高さを変える習慣がないかもしれませんが、ピアニストの中には曲によって高さを変える人もいるくらいですし、たまには低くしてみたり高くしていたりと変えみて、弾きやすさのチェックをした方がいいかもしれません。
うーん、可愛かったなー6年前は・・・
2016.03.18│コラム