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活動情報

コラム

先生になる前に頑張ってきたこと

西武線、[中野区 鷺ノ宮駅]、[杉並区 下井草駅] 近のMYMUSICピアノ教室です!

中央線沿い「阿佐ヶ谷教室」もご贔屓に!

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子供がピアノを習う事が多いのは今も昔も同じ、昭和の時代は、家庭が豊かになってきた象徴は「アップライトピアノと百科事典の購入」という‘のどかな時代’でもありました。子供がそこら中にいたので、ピアノの先生は入れ食い状態で、何の宣伝広告もなく生徒数が40人超えるなんてざらで、この少子化の時代から考えると夢のような話でした。
 


 

*1教えをするには今の時代の方が面白いです。どうやったらピアノを習いたい人に受け入れてもらえるのか、どんな方法使って認知されるのか。普通に一般のビジネスと同じです、創意工夫や勉強の結果が現れるのでやりがいもあります。しかも現在の方がニーズも多様化しています。例えば同じ「コンクールに出たい」という希望がおありでも、「賞与関係なく、怠けないように」と「とにかく賞が欲しい」と「大勢の先生の意見を聞きたい」だと取り組み方も違ってきます。

 

勿論、金輪際コンクールに出たくない人もいます。(日々の練習やレッスンだって、発表会の「打ち上げ」に参加するため・・の人もいるのかもしれません。)なので、入会前の体験レッスンでは長めにお時間をいただいて雑談を交えながら「なぜピアノを習う気持ちになったのか」をしっかり聞かせていただくようにしています。ところが人というものは面白いもので、ものの数ヶ月で気が変わったりします。その数ヶ月の間に発表会があったりすることが多いです。まぁそれは置いといて・・・
 

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一昔前に比べて、先生の適応範囲の広さが求められている近年ですが、私は全く雑食系ではない勉強の仕方をしてきました。また、趣味にしかならないことに手を広げもしませんでした。私ピアノ教師としての適応範囲はそのまま職歴と関係しています。それは「ピアノ科に進まなかったこと」、「大学卒業後にすぐ教えの仕事をしなかったこと」と「演奏で生活していた」の3点です。

 

私ごとですが、ピアノ科の高校生の時、チェルニーをちゃんと教えられない講師が地方では幅を利かせている事を実感しました。私自身は幸運にも産休補助の代行できてくださった、ハンガリーのリスト音楽院卒の先生に師事できました。が、先生と二人で練りあげた音楽は、他のおばさん講師陣には受け入れらず、試験は散々な結果で終わりました。
 

地方ではこのレベルだと思いしらされたので、何とか東京都心の方学校に進学したいと思って、作曲や即興も学べる「音楽教育科リトミック専攻」にうまいこと入学できました。音楽教育科には全く興味がなかったのですが、作曲科に進むには準備不足。リトミックは「リズム運動」「ダルクローズソルフェージュ」「即興演奏(キーボードハーモニーを含む)」が3本柱です。これが本来の主科目ですが、もちろん「声楽」と「ピアノ」は対等に主科扱いです。

 

必修科目選択科目の授業数が本当に多いため大学構内にいる時間が長く、帰宅してもピアノを前にして過ごしている時間は長かったです。が、教育科の悲しさか、大学受験から準備して間に合う程度の基礎能力だったり、学習の習慣がついていなかったりの学友が多く、講師陣もそれなりで授業がつまらなかったり、頼りにしていた大学のピアノの先生は*2佐々木幸徳氏の教育法に傾倒していたので、あまり演奏の勉強の助けにならなかったし、そんなこともあって徐々に気持ちがクラシックから撤退していきました。その同時の頭に浮かんだこと、「どうも、クラシックでは食えなさそうだ・・・」
 

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在学中からポピュラーの勉強を始めていたため、かなり不器用でしたが、なんとか卒業後はキーボードプレイヤーとして生活の糧を得ることができました。それこそ適応範囲が広ければ広いほど、できることが多ければ多いほど稼げたので、凹むことも多かったけれど技を覚えることを必死に頑張りました。演歌、ムード歌謡の歌伴は*3夜店の先輩ピアニストから(生Pが入っている店は高級で品行方正でした)、ホテルのラウンジ、大宴会場でのパーティや披露宴の仕事では本当に全てのジャンルの音楽と接客。お客さんをいかに楽しませるか、サービス業やエンターテーメントに徹することが求められましたが、その経験1つ1つが今の教えるときのヒントになったりアイデアの引き出しになっているのです。
 

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楽しそうな人々、 MYMUSICアミーゴ3人組

 

レッスンを楽しくすること、と一言で言っても生徒様一人ひとり楽しいと感じることが違います。お稽古にいらしてくれた時間をたっぷり堪能していただけるよう、カスタマイズした楽しさを提供できるように、過去の職歴から引っ張ってくるだけでなく、新しいことを日々勉強したり情報を仕入れたり・・・やはり自分磨きをしていかなくてはなりませんね。
っということで、辛くならないくらいには精進していきたいと思っております。
 

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*1教え:バレエ用語、先生をすること、教会や聖書の類とは全く関係がない
 

*2佐々木幸徳:著書「耳をひらくー人間づくりの音楽教育」(1977年柏樹社刊)が有名

MYMUSICのグループレッスンでも分離唱をすることがあります。
 

*3夜店(よみせ):夜に開かれる商店のこと。古くから夏祭りの際に出回る屋台などが夜店と呼ばれる。近年では、キャバクラやバーなど夜に営業を行う店も夜店のひとつに数えられることがある。wikipediaより

ピアノの先生に求められるもの

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MYMUSICは夜間レッスンを受け付けています。そうすると、遠くから通われる方が増えました。ご両親ともに総合職で働いていらっしゃると、平日6時以降か土曜日もレッスンしてもらえところを探す方が多いです。自宅に近い教室に時間が合わないと断られて少し離れたMYMUSICにたどり着いた生徒さんもいます
 

昭和時代のピアノの先生は、子供の学校帰りのお時間中心でレッスンしていればよかったのですが、両親が共働きが普通の平成時代には、お仕事帰りでも未就学児の送り迎えができる時間にレッスンしてくれる教室が選ばれるのでしょう。振替もフレキシブルにしてもらえると安心なのだそうです。するとお仕事帰りに寄れるからといって、お勤めの大人の方が増えてきました。
 


 

だからと言って日中普通に通える時間帯もレッスンしていますので、主婦の方や産休のお母さんのお子さんも在籍していらっしゃいます。ということは、同じ時間帯に動きやすい主婦業の方や家事手伝いに従事している大人の方も通ってこられます。さすがにマタニティや乳児のリトミック音楽遊びまでは手を広げていないのですが、3歳から通ってきてくれている生徒さんもいらっしゃって、手がとても小さくてピアノを弾くレッスンだけだと本人も教える方も辛いので、ピアノで即興遊びをしたり「今日は宇宙旅行に行こう」なんてピアノをバックに動いてみたり、拍節や音価を把握するためのリズム運動をしたりと盛りだくさんです。もう少し学齢が進むと「リトミック音楽遊びより、ピアノを弾くんだ!!」となるのですけど。
 

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大人の方に混ざってお稽古している子供の生徒さんはおませなので、高学年になってくると「ブルクミュラーなんてイマイチだからショパンのノクターンとかジャニーズの曲が弾きたい。」とのたまいます。そして大人の生徒さんの曲の奪い合いをするようになります。・・・ぐらいの差があるので中学生以下の方にピアノを教えるのも、それなりに引き出しの数は必要です。

 

特に日中の時間帯は、大人の生徒さんと幼稚園保育園の生徒さんが前後にいらっしゃるので、「宇宙旅行」や「ピクニック」や「海底冒険」から帰ってすぐに「ベートヴェン」に頭を切り替えなくてはならなくて、その後は入れ違いに、弟たちに「ドラえもん」を弾いてあげたい小学生が来ちゃったりします。大人の方は「ショパン」「ベートーヴェン」が人気ですが、テクニックの充実を考えて、ショパンエチュードやプレリュードを弾いていたり、将来やらなくては、または勉強したいと思っていらっしゃるレベルの方も多いのです。普通に教室をしているのですが、最近はニーズが多様化しているのを実感します。
 

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その上、ロッカーだけどクラシックも勉強してジャンルを広げたいとか、ライブ活動をしている、ジャズとクラシック両方習いたい、曲をDTMで作るのに助けが欲しい、とか・・・いろんな情報を常に仕入れて勉強していかないと回っていきません。
 

話は変わりますが、昨日声楽のT先生から、‘何十年も前みたいな古い新聞の切り抜き’を見せてもらいました。シミオナーのインタビュー記事となんと「ペースメソッド」のペース博の記事でした。歌の先生は、‘ピアニスト、音楽教育者’ロバート・ペースのことは全くご存知なかったので、切り抜いた記事がとても心に響いたということでしょう。内容は「ピアノ教育の詰め込み過ぎに対する警告」でした。ペースメソッドの先生がいていたことで記憶に残った言葉があります。「ドクターは医療ミスで人を殺してしまう可能性がある、ピアノの先生も生徒さんの音楽を殺してしまうことがある。責任の重さは同じだ。」

 

ピアノの先生はお医者さんと同じで、大学や大学の付属機関、各種専門学校にも所属していますが、それぞれの市区町村で開業もしています。重篤な場合や緊急の場合でなければいきなり大学病院に行きませんが、街のお医者さんは。風邪からどんな疾病かわからない初期症状まで、まず見なければならないので大変な知識と経験を必要とされてしまいます。街のお医者さんは総合診療医ですね。私も街のピアノの先生として腕のいい「総合診療医」を目指しています!!
 

フリーメイソン・秘密結社のはずが・・・・

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ベートーヴェン『創作主題による32の変奏曲』(原題:32 Variationen über ein eigenes Thema)を勉強するようにA先生から勧められました。
 

もともとは私がベートヴェンの変奏曲を勉強したいと申し出たのが始まりでしたが、自分の心づもりは『パイジェルロの歌劇「水車屋の娘」より』の作品群のような、「歌物の主題&平易と言わないまでも親しみやすい&短い」ものを考えていたので、A先生には「私にとってはテクニックも曲の持つスケールも重すぎるのではないでしょうか?」とお尋ねしたら。急がないから是非弾いてほしいとのことで、渋々楽譜を買い、半年くらい楽譜置き場に塩漬けにして、しかしA先生の手前頑張ろうと思い立ち、譜読みを始めました。シリアスでとても長く感じられる曲ですが11、2分の長さの曲です。
 

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「ウイキペディアより抜粋:シャコンヌに近い低音の扱い方で、作曲者が古典的な語法を導入する意思があらわれている。最低音はC-H-B-A-As-Gと明瞭に半音階を描いている。わずか8小節の短い主題ながら、低音の存在感が陰鬱な効果を出している。」
 

この曲には高校時代の思い出があって、当時一年生の時三年生の中間試験がこの曲だったので、学校の練習室から漏れ聴いていて、主題くらいは知っていた上、上級生の苦しみようを見て難曲だと察しもしていました。
 

 

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「陰鬱なベートーヴェン」は自分のキャラクターに合わないと、「陰鬱なJ.Sバッハ」よりも激しく避けてきたので、本当に新しい取り組みですが、ソナタと違って11分と短いのも救いです。・・なんて完全に腰が引けている状態で始めたのですが・・・
 

A先生に聞いてもらう前にU先生に聴いてもらいました。U先生は同じ曲を続けてレッスンに持っていくと「これは前回聴きました。」とか言われちゃうことがあるので、なるべく毎回違う曲をできれば新しい曲を持っていくようにしていますが、ネタが尽きたタイミングにちょうどよくこの曲があったのでレッスンに持って行ったのです。
 

両先生方にお稽古をしていただき、なんとかこの曲の魅力を感じることができてきました。

 

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ところで、変奏曲は「キャラクターが立つこと」と「それぞれ関連性があること」が命です。じゃないと「主題と変奏」って聞いている人に伝わりません。なかなかテンポが決まらない曲や曲想が定まらない変奏があって苦労していました。
 

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するとU先生がアドバイスをくれました。「ベートーヴェンはフリーメイソンですが、意識して弾いてますか?」確かにフリーメイソンの芸術家は作品に色濃く表現されていることがあります。この一言で自分の中のすっきりしないことが消えて音楽が収まるところに収まった気がしました。
 

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フリーメイソンで有名な音楽家はジャコモジャコモ・プッチーニ、フランチェスコ・ヴェルディ。モーツアルトは結社に所属していたという直接の証拠が残っているので間違いなさそうです。バッハ親子もフリーメイソンと言われていますし、ブーラームス、シューベルトもフリーメイソンであると言われています。うーんフリーメイソンって入会金が高そうだけどシューベルトとでも入会できたのかしらん?
 

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フリーメイソンのシンボルマークは石工の道具であったコンパスと直角定規で、中央の「G」は至高存在を意味し、神(GOD)と幾何学(geometry)を意味し、上向き三角形(コンパス)と下向き三角形(直角定規)の結合はダビデの星を形成し、男と女、陽と陰、天と地、精神と物質など世界の二元性の融和を表現しているようです。そして、コンパスは真理、直角定規は道徳という意味らしい


 

入会条件
18歳以上の男性である事
ちゃんと仕事してて、それなりの収入がある事
身体障害者でない事
何かしらの宗教(至高の存在)を信仰してる事
既存会員2名以上の推薦をもらう事

 

基本理念
『自由、平等、友愛、寛容、人道』という5つを基に結成された友愛団体、慈善団体

 

詳しい内情はわからなくても、作曲家がこの基本理念に共感して積極的に慈善活動を行うような性格の持ち主であったことは音楽を理解するのにものすごい助けになりますね。
 

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フリーメイソン宇宙人説


 

秘密結社のように思われているフリーメイソンですが、近年「高須クリニック」院長が入会したことで、ツイッターなどのSNSに情報がだだ漏れになってしまいました。ぶっちゃけ話のオンパレードで日本のフリーメイソンに関しては神秘性0です。
 

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かっちゃんのブログはぶっ飛んでいて面白いですね

楽な身体の使い方

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S先生のバレエ教室に長い間お世話になりました。辞めたキッカケは、その年の1月に帯状疱疹を罹患し、数ヶ月のドクターストップががかったせいです。股関節の痛みを冬の終わりから発症することが多かったのですが、その時期に被ってしまい、復帰の意欲が萎えてしまいました。

 

クラシックバレエのエクササイズは「アンディオール」して重心を引き上げる、ポジションは必ず「ターンアウト」。
面白いサイトを見つけました。http://k-bodydesign.com/dw201.html

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私の場合、脚を外旋して立つと鳩胸出っ尻になり骨盤がタックインするので、真っ直ぐ立つ為には、いつも意識して筋肉で真っ直ぐな姿勢に身体を合わせていることが必要になっていました。身体だけでなく意外と精神的にもストレスがありました。「バレエは健康体操では無い、芸術だ!」がS先生の持論なので、芸術が表現できる肉体になる為には多少の犠牲も必要な様です。特にプロのダンサーは35歳過ぎて何処か故障がなかったら真面目に踊っていなかった証明とぐらいいわれています。
でも、初心者や趣味の人は健康と美容が目的ですよね。上記のサイトはとても分かりやすくて勉強になりました。
 

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最近通っている太極拳のクラスでは、筋肉を無防備に動かす危険を常に説かれています。身体の作り出す形は、関節を認識して骨を通して動かした最後の表れだから、正しく動かせば自ずと正しい位置に納まるのだ、という理屈なのだそうです。
 

バレエのクラスでは透明な何にでもなれる肉体になる為に身体の癖を何とか取り払おうと先生方が四苦八苦されていました。どうも癖の強い人がいてそういう人は半分くらい諦められていました。が、太極拳のクラスでは、今のところ、その癖を取り去る事がメインの様です。
 

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さて、ピアノのレッスンでの生徒さんからのご相談内容で一番多いのが脱力についてです。脱力さえ出来ていれば、指の独立の問題や手の大きさ、音量不足、等を1点づつ、ちまちま考えなくても解決出来るはずだと踏んでいらっしゃるのです。
ところで何故脱力出来てないと自覚があるのかといえば、それは何処か窮屈な形で演奏しているからともいえます。
 

ピアノは手先指先で演奏している様に見えてます。が、「身体の中心から発した音楽的な動きが、身体の色々な関節や筋肉に伝わって来て、最後の表れが楽器演奏である」、というならとても演奏する事が楽になるのかなぁと思います。
太極拳の先生は、キツイ個人攻撃でサンプルを血祭りにあげて教えをしていますが、明日は我が身なので皆んな必死になって覚えます。
 

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ピアノのお稽古は個人レッスンの形態なので、他の人と自分の弾き方の比較が出来ないのですが、グループレッスンで初心者から弾ける様な曲をみんなで演奏して回したりとか、の機会があると、「自分の常識他人の非常識」がいくつも見つかったりして、面白いかもしれません。
 

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敬愛する先生との即興演奏

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コラム欄でボディテクニックの先生、S先生とA先生のことを書かせていただいたことが、原因なのかわかりませんが、不思議なことにS先生の夢を見てしまいました。先生振付の舞台を観ている場面でした。先生はお元気そうでしたが、夢ではチラッとしか出て来られませんでした。妙に気になっていたところS先生から書面が届きました。なんと新作公演の発表を知らせるものでした。セレンディプティか・・・
 

S先生は「国立音楽大学 教育音楽科」のR(リトミック)科の1年次の必修科目であったボディテクニックの先生として教鞭をとることになり、それから定年を迎えるまで、後進の育成に力を注がれて来ました。
 

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『牧神の午後』(1912)のニジンスキー

 

ことのはじめは、アメリカからリトミックの講師を招いて数ヶ月授業をしていただいたことでした。彼は、担当したリトミック専攻の学生たちの「あまりにも肉体の感受性が低い」ことに驚愕されて、パフォーマンスの基礎訓練の必要性を説いて帰られたことから、バレエダンサーであり国立音楽大学の作曲家卒業の経歴を持つS先生が講師として招かれ、ボディテクニックの授業が始まったのです。

 

S先生は見た目も美しくまるで貴公子のよう・・・本当に白タイツで正真正銘の王子様として踊っていたわけで、音楽関係者の男性陣の中で稀有な‘完璧な肉体’を備えていたため‘掃き溜めに鶴’状態、人気急上昇でしたが、講義内容は情け容赦ない厳しいもので一回の授業で3、4日間寝たきりになる人も続出。ピアニストに対しても人使いが荒く・・・かどうかわかりませんが前任者が辞めてしまい急遽学生アルバイトで私が講義の伴奏を務めることになったのです。

 

S先生はお父様が日本のモダンダンスの創始者の一人とされる重鎮で、先生自身はモダンも踊れるクラシックバレエのダンサー、しかも振り付け演出も手がけるサラブレットなので、いくら縁のある大学とはいえ、ど素人に*1‘教え’をするのは忍耐の二文字に尽きたようでしたが、先生のそのキャリアのおかげで、学生たちは幅広いジャンルの‘動き’を大変論理的に整頓された状態で学ぶことができました。ひどい筋肉痛を伴ってですが。
 

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上半身裸で舞台上でスポットライトを浴びることが許される・・先生がそんなに美しかったら、相当の筋肉痛にも耐えられるというものです。

 

フロアトレーニング(床に仰向けになった状態)に、腹筋背筋柔軟と休む間も無く、やっと起き上がって、この日のメインの内容が始まります。
 

惰性を使った動き、体の中心からの動き、先端からの動き、5つのジャンプ(ジャンプは5種類あります、両足ジャンプ、片足ジャンプ、両足着地、片足着地を組み合わせると5種類です)、ピアノの音に反応して即興的に動く、古典舞踏、民族舞踊、等々・・・
 

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ピアニストが大変なのは、自分のペースで弾けないことです。動きに合わせるだけでなく相手の能力を予想したり、または先生が教育的に望んでいる動きができる速さを考慮したりして、テンポや音量音色を決めるのですが、疲れたからやめたいはできないのです。もちろん勝手にテンポが変わったり、つまづいて止まったりはありえないことです。

 

 

しかも、普通に楽曲を弾いていたらありえないことも起こります。全部フォルテッシモで弾き続けるとか・・例えば「ピアノの音に反応して即興的に動く」のお題は『怒れる巨人』と『水に揺らぐ水草』。水に揺らいでいる方は激流や滝のように流れ落ちる音も弾きますが、水が澱んで滞留したり、超静かな流れを混ぜて適当にお休みも可能です。問題は『怒れる巨人』。巨人が怒り狂って暴れまわる、怒りは天井に、床に、周囲の壁に向かって激しくぶつけるというイメージです。先生の気がすむまでやらされます。

 

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音楽大学の学生は全般におとなしく内向的なので、体全体で何かを発散しろ!と言われてもヘラヘラしていますので、先生がお手本を見せたり、目を瞑らせて外からの刺激を絶ったり、恥ずかしさを払拭させてから、まず全員で動きます。それから数人ごとのグループに分けて動きます。それぞれグループが終わるたびに「疲れた、頭ぐらぐらする・・」を連発。私は先生の見本からノンストップで弾き続けなくてはならないのです。最後に再び全員で巨人を舞って、終わったら休憩挟んで次のコマで同じ内容の授業、最初からの繰り返しが始まります。この即興演奏の難しいところは、ピアノの弾き始めからパフォーマー全員の動きがピタッと合うこと。不思議な現象のようですが、ちゃんと仕掛けがあります。
 

重労働のため筋細胞がものすごいダメージを受けるようで、小指の先からものすごい筋肉痛でほとんど怪我をしているくらいの感じですが、一週間後にはこの講義の復習をするため、同じ演奏をしなければなりません。
 

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ああ、、ワルツステップ。華麗に踊れなかった思い出が・・・

 

もっと大変なのは、「手先からの動きが全身に及んで大きな動きになる」。小さな微細な手の中波がだんだん大きくなって肘を揺らし最後は全身でドンブラコ・ドンブラコ・ドンブラコ・・・いつまでもドンブラコ・・・揺れはピアノの即興がリードしていてすごく難しい即興だし、ドンブラコはなかなか終われない。最後はだんだんおさまって小さな波でおしまい・・なんですが。
 

で、私は音量が出るそうで、「どんなクマが弾いているかと思ったら長尾さんだった。」とか言われたりしますが、それなりに鍛えられていたんですね。っとS先生の授業と共に、その時の辛苦を思い出したりしました。いえいえ、冗談です、本当はS先生の下での即興をとても楽しく弾かせていただきました。気持ちが伝わっているのか、その当時の学生さんから、もうずいぶん前のことなのに、「先生の演奏が大好きでした。」なんて言われたりして一人悦に入っています。
 

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*1「教え」=先生をすること、いわゆるバレエ用語で「教えをする」・「教えに行ってくる」・などの使い方をする、教会や聖書とは全く関係がない)便利なので私も家庭内で使っていたりします。例「今日は阿佐ヶ谷で教えがある」
 

そうそう、阿佐ヶ谷教室は広いので即興演奏でいっぱい遊べます。体験レッスン無料期間中に是非いらしてくださいね!!
 

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